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2018年5月21日月曜日

J.P Manchetteの2作品

J.P Manchette: La position du tireur couché
2018年4月23日読了
著者:Jean-Patrick Manchette
刊行:1981年
評価:★★★







J.P Manchette: Le petit bleu la côte Ouest
2018年5月21日読了
著者:Jean-Patrick Manchette
刊行:1976年
評価:★★★







手元にJean-Patrick ManchetteのLivre de Poche(文庫本)が4冊ある。7、8年前にパリで購入したものだ。どうして彼の本を4冊も購入したのか。今となってはまったく思い出せない。おそらくどこかの書評を読んで興味を引かれたのだろう。買ったのはよいが、何年間もずっと積ん読状態だった。

今回まずLa position du tireur couchéを取り出して読んでみた。1冊だけで評価するのも性急と思い、続いてLe petit bleu la côte Ouestを手に取った。前者は「眠りなき狙撃者」、後者は「殺しの挽歌」というタイトルで邦訳されている。いずれも原題に忠実なタイトルではない(原題に忠実なタイトルにするのはむずかしい)。

Manchetteはハードボイルド作家ということだ。しかしこの2作に関する限り、私がイメージするようなハードボイルドではない。La position du tireur couchéの主人公は殺し屋、Le petit bleu la côte Ouestの主人公はビジネスマンだが、冷徹でもクールでもなく、どこか滑稽感が漂う。無謀かつ無造作に死地に飛び込んでいくが、肝心なとこで抜けている。いわゆるハードボイルドにありがちな気の利いたセリフや気障な描写がないのはいい。

ストーリーはひと言で表せば「マンガ」だ。およそリアリティに欠けた展開が続く。このままでは星2つの評価なのだが、どちらの作品でも最後の数ページにある種の「ひねり」がある。La position du tireur couchéのほうは物悲しさが残り、Le petit bleu la côte Ouestの最後にもちょっとした仕掛けがある。こうした「ひねり」を考慮して星を1つ増やし、3つとした。

まだ2冊未読のManchetteが残っているが、とりあえずはこれら2つの作品で十分だろう。