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2023年10月4日水曜日

シンガポール短期英語留学記 その2

 学校

EF Language Schoolはシンガポール中心部のクラーク・キー地区にある。英語を学ぶ学生が大半だが、10~20%は中国語を学びに主として欧米からやってきた学生だ。

この学校に通うにあたって私の最大の懸念は、年齢のギャップであった。17~25歳くらいの学生が90%くらいを占めるなか、私はだんとつに高齢だった。この懸念は半ば外れ、半ば当たった。

日本でオンラインで受けたReadingとListeningのテストに加え、学校初日の簡単なインタービューの結果、私は上級のクラスに配置された。14、5名のクラスメートの半数近くはドイツ人だった。その他、メキシコ、エクアドル、ベルギー、フランスなど。1週目は私のほかに日本人も2人いたが、2週目は私だけが日本人だった。

英語のレベルについては特に問題なかった。問題は、スマホやパソコンを操作する授業が多かったことだ。日本の田舎で暮らしている高齢者としては、私のスマホのスキルはそう見劣りのするものではない。しかし、20代前半の欧州の若者たちと比べるとなると話は別だ。いろいろな場面で先生やクラスメートの助けを借りなければならないはめになった。

もうひとつ。若い連中との興味や知識のレベルの違い。最近のニュースについて10の質問をつくり、クイズ形式で競い合うという「プロジェクト」があった。私の質問は、カナダとインドの関係の悪化、インド北部の民族紛争など、きわめてまじめなものだった。しかし他の学生たちの質問はその多くがスポーツ選手や芸能人のゴシップに関するものだった。私にとって未知の世界で、答えようがない。"We are living in different planets"という感想を述べておいた。

といっても彼らと会話がないわけではなかった。世界のいろいろな場所を経験しているということで、彼らもある種の敬意をもって接してくれたように思う。彼らとの会話から私が得ることも多かった。

こんな苦労をするためにどうしてわざわざ高いお金を払ったのかと入学を後悔する日もあったが、今となっては欧州や中米の若者と接する機会をもてたことは貴重な体験だったように思う。急速に変化する現代社会の中で自分がいかに取り残されており、いかに無力であるかを自覚できただけでも得るものがあった。ただし、スマホの多用が英語力の向上につながるかどうかについては今でも疑問が残る。もっと深い討論をしたかったというのが本音だ。

シンガポールの印象

3、4日で十分なはずのシンガポールに20日間も滞在した。ホテル内に引きこもることが多かったので、その割には見るべきところを見ておらず、シンガポール人とのふれあいもほとんどなかった。それでも気づいたことがいくつかあった。

まずシンガポールの人たちが予想外に親切だったこと。交通カードのチャージなどでやり方がわからず困っていると、だれかが助けてくれる。MRT(Massive Rapid Transpot=地上も走る地下鉄)で席を譲られたことが合計4回(東京でも大阪でも地下鉄で席を譲られたことは一度もない)。シンガポールは過剰なまでの競争社会だ。この忙しい街の中でcompassionはまったく期待していなかっただけに、うれしい驚きだった。学校の授業の中でシンガポールの感想を求められたとき、このことを発言しておいた。

MRTの車内

次に気づいたのは、日本の存在感の大きさ。モンゴルでは韓国の影響力に圧倒されたが、シンガポールでは日本のほうが目立っていた。シンガポールの銀座といわれるオーチャード・ロードには伊勢丹と高島屋がどんと店を構えている。MRTの大きな駅には必ずドンキがある(シンガポール人の耳にも「ドンドン・ドンキ~」というメロディーがこびりついているらしい)。すき家もあれば吉野家もあり、大戸屋やサイゼリア、あるいはモスバーガーで食事することもできる。ダイソーやユニクロは言うまでもない。スーパーへ行けば、寿司や刺身、日本風の弁当まで購入できる。街の中で日本語が聞こえることも多かった。

ドンドン・ドンキ

居酒屋もよく見かけた



3番目はシンガポール社会のジタル化。空港での出入国は、係官を顔を見ることなく、すべて自動的に処理された。MRTはEZ Linkという交通カードを使って利用したが、通常のクレジットカードをかざすだけでも利用できる。スマホでQRコードを読み取って注文するレストランも少なくない。クレジットカードさえあればほぼ万全だが、ホーカー・センターの一部の店や街中の小さな店などでは現金しか受け取らないところもあるので、ある程度の現金は必携。

2023年10月2日月曜日

シンガポール短期英語留学記 その1

 東南アジアの国はほとんど行った。行っていないのは、東チモール、ブルネイ、それにシンガポールの3か国。シンガポール行きを思い立ったのは、こうした理由からだ。シンガポールを観光するだけなら、3、4日あれば十分だ。

と思っていたところ、EF Language Schoolなる語学学校の宣伝をネット上で見かけた。EFはスイスを拠点した国際的な語学学校で、シンガポールにも進出している。シンガポールへ行くなら、ついでに英語にふれるのもいいだろう。2週間の英語コースに申し込んだ。

コースは9月11日から9月22日まで。余裕をもたせ、授業開始より少し早めの9月6日にシンガポールに到着し、帰りも授業終了から3日後の9月25日とした。合計20日間、3週間近くのシンガポール滞在となる。

かくて往路は9月6日関空発シンガポール・チャンギ空港着、復路は9月25日シンガポール・チャンギ空港発26日早朝関空着のベトナム航空便のチケットを購入した。往路も復路もベトナムのホーチミンシティ経由。料金は一切合切すべて含めて70970円。LCCを使えば、もう少し安くなるが、時間などの関係から今回はなじみのベトナム航空にした。

以下、今回のシンガポール旅行兼短期英語留学の様子を時系列的にではなく、項目ごとにまとめてみた。

気候

シンガポールの気候は一年を通じてそれほど変わらず、常夏の毎日が続く。雨期は11月~2月とされている。9月にも雨は降るが、激しい雨ではなく、1時間もすれば止むことが多い。私の滞在中、しつこく雨が降り続いたのは1日だけだった。といっても、晴れた空が突然曇って雨になることもあるから、傘は常時必携だ。日中は蒸し暑い。日本の8月並か、それ以上だ。

ホテル事情

空前の円安ということもあり、ホテルは軒並み高い。ちょうどF1に重なったこともあり、バス・シャワー付きの個室は1泊2万円でも安いくらいだった。ドーミトリーでも6~9千円くらいしたようだ。語学学校に通学中の2週間は学校から斡旋されたホテル(チャンセラー・ホテル)に宿泊した。ツインベッドの広い部屋ではあったが、アメニティやサービスの質は日本のビジネス・ホテル以下だった。1泊13000円ほど。シンガポールでは安いほうだ。

観光

観光はあまりしていない。Youtubeなどを見ると、3泊4日くらいの旅行者でも私より多くの観光スポットを訪れている。怠惰な私は冷房のきいたホテルでだらだらと時間を過ごすことが多かった。外が蒸し暑く、2、3時間歩くとぐったりしてしまう(疲れやすいのは歳のせいかもしれない)。グーグル・マップを見ても道に迷ってしまうという絶望的なまでの方向音痴がこの出不精をさらに後押しした、

マーライオン公園、ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ、リトル・インディア(これは学校のアクティビティで訪れた)、アラブ・ストリート(サルタン・モスク)、セントーサ島などは何とか訪れたが、動物園、植物園、ショーアップされた夜景などは見ていない。

ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ

キラキラと光り輝く観光スポットよりも、シンガポールの辺境、シンガポールの陰、つまりは「現実」を見てみたい。シンガポールには「スラム」と呼べるような一画はないが、これはシンガポールに貧困がないということではない。インドネシアやミャンマー、ベトナムなどからの移民労働者が一部屋に何人も詰め込まれ、劣悪な条件のもとで働いている様子はYoutubeなどで数多く報告されている。

シンガポールの東部にあるゲイランは、公認の売春宿が密集する地区であり、移民労働者が暮らす劣悪な住宅や安宿、不衛生な食堂など、シンガポールの中心部とはひと味違った光景が見られるという。

ある日の午後、このゲイランを訪れた。30、32など大きな番号を付与された置屋とおぼしき建物が並んでいる。入口に座っている男性からは日本語で「見るだけ、見るだけ」という声がかかる。

ただそれだけだった。街並みはシンガポールの他の地区と同様に整然としており、立ち寄った食堂も不衛生というわけではなかった。

別の日には「シンガポール本島に残された唯一の村」とされるKampong Lorong Buangkokに行ってみた。MRTとバスを乗り継いで1時間近くの道のりだ。確かにシンガポールの他の地域とはことなる一画がある。しかし村と呼ぶには小さく、せいぜい30戸の家が散在しているだけだ。周りを歩いてみたが、誰にも出会わなかった。

Kampong Lorong Buangkok

食事

到着した日の翌日、シンガポールではじめての昼食をクラーク・キーにあるホテル付近のレストランでとった。注文したのはポーク・カツと揚げパン(油条)。飲み物は頼んでいないのにこれだけで15シンガポール・ドル(1600円以上)。これにびっくりし、夕食はセブンイレブンで購入したカープヌードルで済ませた。カップヌードルですら300円ほどする。

シンガポールではじめて口にした食事


だが、翌日からはもっと安く食べる方法を見つけた。ホーカー(hawker)・センターと呼ばれるフードコートへ行けば1食4~6ドル(500円前後)程度で済ませることができる。ホーカー・センターはシンガポールの至るところにある。

チャイナ・タウンのホーカー・センター

チャイナ・タウンのホーカー・センターで食べた料理の写真を載せておこう。これらはいずれも10ドルほどだったが、チャーハンあるいはヌードルの単品にすれば5ドルですむ。

チャーハンと小籠包

ヌードルと揚げ餃子

シンガポール名物のチキン・ライスもホーカー・センターなら5~6ドルだ。マックウェル・ホーカー・センターにある天天海南鷄飯店のチキン・ライスはMサイズで確か6ドルだった。

天天海南鷄飯店のチキン・ライス

味はいずれもまずまず。絶品とまで言えない...というのは食に対する私の感じ方が劣化しているせいかもしれない。予想外においしかったのがカヤ・トースト。トーストにカヤといわれる甘いジャムとバター(あるいはピーナッツ)を塗った1品で、コーヒーや半熟ゆで卵とセットで提供される。

カヤ・トースト

寿司や弁当などの日本食もセブンイレブンやドンキのほか、スーパーで容易に手に入れることができる。ただ、シンガポールのパサパサした米は寿司には合わないように思う。(続く)