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2018年3月21日水曜日

平壌からウラジオストクへ2018 二日目(平壌)

2月28日。

宿泊客が少ないため、朝食は大ホールでのビュッフェ形式ではなく、「虹の間」と呼ばれる小さな部屋でウェートレスが個別にサービスする形だった。パンとオムレツ、サラダ、ミルク、コーヒー。我々以外にも4、5人の客の姿が見られた。

8時にホテルを出てまず向かったのは万寿台の金親子の銅像。冬の平壌の朝は寒いが、恐れていたほどではない。零下2、3度といったところか。途中で花束を購入し、Simonが代表で銅像の前に捧げる。そして一同銅像に向かって頭を下げる。

花売り娘

続いて祖国解放戦争勝利記念館と米国の「スパイ船」プエブロ号の見学。すでに何回も訪れた場所だ。銅像の前でもそうだが、ここでも展示物やガイドの説明よりも、ここを訪れている北朝鮮人民の様子のほうかが興味深い。特に目に付いたのが若い兵士たちの集団だ。若い。若すぎる。北朝鮮の兵役は17歳からだが、彼らは14、5歳に見える。異様とも思えるほどに小柄なのだ。だからといって見くびることはできない。私が「Don't underestimate them」と言うと、横にいた英国人女性のPollyが「Exactly!」と同意する。

戦争勝利記念館を見学に来ていた女性兵士たち

同じく少年兵たち

この日、なにかの機会に金(女性)ガイドに北朝鮮の徴兵制について尋ねてみた。「男子は10年の兵役につくのか」という私の問いに、「共和国には徴兵制はない。すべて志願だ」との意外な返事。「現に私は兵役についたことがない」と言う。「それは女性だからで、男性の場合は...」とつぶやいたが、特に返答はなかった。

後日Koryo ToursのSimonから得た情報によれば、確かに形の上では志願制となっているらしい。つまり金(女性)ガイドが言ったことは嘘ではない。しかし実質的には(特に地方の男子などは)17歳で学校を卒業をすると10年間の兵役につくしか選択肢がない。といっても、8年のケースもあれば、平壌などではまったく兵役につかないケースもあるという。

人生でもっとも貴重な10年間を兵役に奪われることは個々人にとっての損失であるだけでなく、国にとっても人的資源の大きな無駄遣いではなかろうか。そのうえ、一部に兵役につかない特権階級が存在するとは。まさに格差社会であり、はけ口のない不満がマグマのように溜まってしまうのではないだろうか。

観光がぎっしりと詰まっているのは北朝鮮ツアーの常。そのうえ我々の平壌滞在は実質1日ちょっとしかない。急がなければならない。外国語書店に立ち寄ってから、恒例の地下鉄乗車体験。以前は1区間しか乗れなかった地下鉄も今は全線が外国観光客に開放されている。今回は復興駅で乗車し、途中で1度下車して、凱旋駅まで乗った。かなり混んでいた車内で3人連れの女の子に声をかけ、写真を撮らせてもらう。

地下鉄車内の女の子

1時過ぎに昼食をとる。円卓を囲み、チキン、ナムル、キムチ、チジミ、天ぷらなどの料理が次から次へと出てくる。締めくくりはライスとスープだ。ライスは半分以上残した。

昼食後、光復(クァンボク)地区商業センターに向かう。ここを訪れるのは3度目だが、1回目はただ見るだけで終わり、昨年4月の2回目はタブレットPCの購入にほぼすべての時間を費やしてしまった。明日の列車の旅に備えて食料を調達する目的もあり、今回は約1時間の余裕で買い物を楽しむことができる。10ユーロをウォンに両替し、食料品売り場で肉団子、イカの天ぷら、チジミ、カッパえびせん(らしきもの)、ソジュ(焼酎)、ジュース、水などを購入する。両替したお金の約半分を使った。残ったウォンは米国ドルに再両替する。

この商業施設は中国との合弁を解消し、できるだけ国産品を増やそうとしているとのことだったが、まだ結構な数の中国の商品が並んでおり、日本の化粧品などもちらほらと見られる。昼食の直後ということもあり、以前から試してみたかった3階のフードコートは今回も見送り。いつかは平壌市民と肩を並べてビールを飲んでみたい。

ショッピングセンターをあとにし、万寿台創作社に向かう。絵画や彫刻、銅像を集団で制作している現場だ。まるで写真のようなスーパーリアルな絵画にちょっと惹かれた。

スーパーリアルな絵

続いて主体(チュチェ)塔。タワーの英語ガイドが我々を迎える。この眼鏡をかけた女性ガイド、私を見たとたんにぱっと顔が輝き、笑顔になる。「あなたを覚えている。以前にも来たでしょう」と言う。そう言われれば見覚えがあるようにも思われるが、確かではない。たぶん昨年4月にカナダ人のマイケルらと訪れたときのガイドだろう。ツアー仲間からは「(顔を覚えられるような)どんな行儀の悪い(naughtyな)ことをしたのか」とからかわれる。

今日はぎっしりと日程がつまっている。次に駆け足で党創立記念塔を見学し、ボーリング場に向かう。ボーリング場ははじめてではないが、隣接しているカフェははじめてだった。本格的なコーヒーを提供するために最近オープンしたらしい。注文したカプチーノは確かにおいしかった。カウンターのケースには「柿の種」などの日本のお菓子が収まっていた。

カプチーノ

日本のお菓子も売られている

7時も過ぎ、夕食タイム。焼肉。牛、アヒル、それに豚だったか羊だったか、忘れてしまった。

夕食後、希望者だけで未来科学者通り(ミレコリ)を散策することになった。金正恩の肝いりで大同江沿いに建てられた高級住宅・商業エリアだ。その名が示すとおり、主として科学者や大学教授が居住しているという。これも急速な格差社会化の一端と見ることができる。

未来科学者通り

羊角島ホテルに戻ったときには9時半近くだった。部屋に入ってから、光復地区商業センターで購入した食料品を並べてみた。2本の乳飲料は中国産だが、残りはすべて北朝鮮産と思われる。北京で調達したカップヌードルやお菓子と併せ、36時間の列車の旅には十分すぎるだろう。

平壌で購入した食料品

光復地区商業センターや夜の未来科学者通りには活気があった。これらの光景だけを切り取れば、東欧や南欧、東南アジアの一角と比肩できる。自動車(特にタクシー)の増加もそうだが、こうした「発展と繁栄」をどう評価するかは難しいところだ。「単なるショーケース」として否定できる現実ではない。しかし北朝鮮の現実はこれだけではない。明日からの列車の旅でまた別の北朝鮮を見ることができるかどうか。

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