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2016年3月13日日曜日

ミャンマー2016 四日目(ミッチーナー)

2月11日。

ミッチーナーの北約43kmにミッソン(Myitsone)という景勝地がある。2つの川が合流してエーヤワディー川となる地点らしい。今日はここを訪れることにした。昨日Snowland Toursの女性から聞いたところでは、バイクタクシーなら往復で15000チャット(1500円)、トゥクトゥク(三輪タクシー)なら30000(3000円)ということだった。揺れの激しい悪路だからトゥクトゥクよりもバイクタクシーのほうがいいとのことだったが、悪路ならなおさらトゥクトゥクのほうが安全上好ましく思えた。

モーターバイクは怖い。車ならかすっただでけで済むような事故でもモーターバイクでは致命傷になる。交通インフラのしっかりしていない発展途上国では特にそうだ。少々高くついてもトゥクトゥクで行きたい。

宿の隣のレストランで朝食を済ませ、トゥクトゥクを探した。トゥクトゥクにしろバイクタクシーにしろ、外国人と見れば「Where go?」と声を掛けてくるので、見つけるのは難しくない。あとは値段の交渉だけだ。ミッソンまで往復20000チャットで行くというトゥクトゥクをつかまえた。朝10時ごろにミッソンに向けて出発。

トゥクトゥクは途中で3人のミャンマー人女性(と赤ん坊1人)を乗せる。20000チャットいう安い値段で行くのだからこれも仕方ないだろう。途中、2匹の象が街道を歩いているのを目撃。仕事に使っている象のようだ。

街道を歩く象

ミッチーナーの街を出て30分くらいは走っただろうか。トゥクトゥクは突然停車する。パンクしたのだ。ここで3人のミャンマー人女性はトゥクトゥクから降りる。運転手は代金を払い戻しているようだった。私はここで降ろされても困る。パンクを修理してくれるところを探して道を引き返す運転手に付いていくしかない。坂道を2人で車を押しながら10分以上は歩いただろうか。バイク屋らしきショップが見つかり、パンクを修理する。運転手は私に修理代の5000チャットを支払えという。当然拒否するが、運転手に手持ちのお金がなく、私に借りるしかないようだ。あとで私が運転手に支払う額を20000チャットではなく15000チャットとするということで了解した。なにぶんにも英語が通じないので、この了解に達するまでにかなりの時間がかかった。

パンクが直ったころにはすでに12時近かった。道沿いの屋台で昼食をとることになった。運転手はお金がないせいか何も食べず、私は麺を食べた。500チャット(50円)。屋台を手伝っていた子供たちがかわいい。

屋台を手伝っていた少女

さてミッソンに向けて再出発だが、しばらく行くとまた引き返す。こんどはエンジンの調子が悪くなったようだ。パンクを修理したところは別のバイク屋に立ち寄る。ここで運転手は私を残したままバイク屋の男のモーターバイクのうしろに乗ってミッチーナーの方向に引き返した。トゥクトゥクはあきらめ、ミッチーナーからモーターバイクを持ってきて、それで私をミッソンへ運ぶつもりらしい。運転手が戻ってくるのを30分以上は待っただろう。バイク屋はお茶やトウモロコシ、甘物を出してくれる。英語はまったく通じないものの、赤ちゃんを相手したり、日本の千円札を見せたりして時間を過ごすうち、運転手がモーターバイクで戻ってきた。トゥクトゥクは修理のためにバイク屋に置いておき、私をうしろに乗せてモーターバイクでミッソンへ向かう。

バイク屋で赤ちゃんを相手

これは話が違う。モーターバイクは怖いからトゥクトゥクにしたはずだ。だが、いまさらキャンセルするわけにもいかず、モーターバイクのうしろに乗る。やがて未舗装の道に入る。緊張しながら揺れに耐えていた。途中、小さな食料品店に立ち寄り、一休みする。一休みするのはいいが、運転手はなんとウイスキーを購入して飲み出した。水割りにしながら300mlほどの瓶を空にしてしまった。しかも「I have no money」と言うので、このときのウィスキーとつまみの代金1100チャットも私が払うはめに。「You」と「Go」しか知らないと思っていた運転手が「I have no money」というセンテンスを発したことにもびっくり。

そうではなくも危険なモーターバイク。ウイスキーを飲んでいて大丈夫なのか。食事もとらずに昼間からウイスキーを飲むこの運転手、アルコール依存症じゃないのか。不安の中、なんとかミッソナに着いた。

ミッソナは2つの川が合流する地点で、確かに景色はいい。黄金のパゴダも建っており、食べ物や土産物の店が並んでいる。近くにはキリスト教の教会もある。男は私と腕を組んで案内する。男同士で手を握ったり、腕を組むのはミャンマーだけではなく、エチオピアやエリトリアでも見かけた。韓国の光州でも一度見たことがある。

ミッソン

香港から来たらしい小グループを除き、周りはほとんどミャンマー人だった。色の白い中国人とおぼしき男性に「中国人か」と中国語で尋ねると、「ビルマ人でヤンゴンから来た」と英語の答えが返ってきた。かなり流暢な英語だ。少し話し、握手して別れた。ミッソンに来るのは二回目。一回目はひとりで、今回は家族と一緒に来たとのこと。この地にダムを建設する計画があるが、今のところ大統領命令でストップしていること、カチン州の民族紛争はまだ完全には解決していないことなどを知る。

ミッチーナーへの帰路、トゥクトゥクを預けているバイク屋に立ち寄る。トゥクトゥクの修理は完了していた。代金は9000チャット。運転手はno moneyだから、これも私が支払う。ここでモーターバイクからトゥクトゥクに乗り換え、ミッチーナーに向かった。モーターバイクで事故に遭うことはなんとか避けられたので一安心。YMCAに宿泊していることを告げていなかったにもかかわらず、運転手はトゥクトゥクをYMCAの前につけた。外国人はみんなYMCAに宿泊すると思い込んでいるのだろう。時間はすでに夕方の5時を過ぎていた。

ミッチーナーでトゥクトゥクに乗る

さて、私はこの運転手のためにパンク修理代5000チャット、エンジン修理代9000チャット、ウイスキーとつまみ代1100チャット、合計15100チャットを支出している。最初に約束した往復の運賃は20000チャットだから、残金は4900チャットになる。ただ、20000チャットはトゥクトゥクでの運賃だ。モーターバイクなら15000チャットが相場だろう。だとすれば、運転手は私に100チャット負っていることになる。しかし、朝の10時から夕方の5時過ぎまで働いて、取り分がゼロではさすがにかわいそうだ。20000チャットという約束をそのままにし、残金の4900チャットにチップの100チャット、合計5000チャットを支払った。

ミッチーナーからミッソンまでの小旅行は通常なら半日もあれば十分だが、1日近くかかるという結果になった。だが、このてんやわんやは私にとってはおもしろい体験だった。こうした混乱、こうした徒労と無駄こそミャンマー体験の不可避の部分であるように思う。バイク屋や屋台でのミャンマー人のふれあいも興味深かった。運転中の飲酒はともかく、トゥクトゥクの運転手も悪い人間ではなかった。

トゥクトゥクの運転手

夕食は朝食と同じくYMCAの隣のレストランでとった。The Orientという英語名で営業しているこのレストランのスペシャリティーは日本料理と韓国料理だ。親子丼、刺身、ビビンパ、プルコギ、キンパなどのメニューが並ぶ。ミッチーナーを訪れる日本人や韓国人は限られているだろうに(滞在中には日本人や韓国人を誰ひとり見かけなかった)、どうしてこんなメニューになるのだろうか。ただ、英語のメニューが用意されていることから、YMCAに滞在中の外国人(欧米人を含む)には人気があるようだった。この日私が注文したのはメンチカツ定食。味噌汁はインスタントのような感じがしたが、メンチカツの味まずまずだった。缶のミャンマービールと併せて5000チャット(500円)の支払い。トゥクトゥクの運転手が今日稼いだのと同じ金額だ。通常のミャンマーの食堂の2倍近く。

メンチカツ定食



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