12月16、17日。
エジプトに行きたいという強い思いがあったわけではない。エジプトは辺境でもなく、少数民族の宝庫でもない。エジプトの古代史に興味があれば話は別だが、残念ながらそっちの方面の知識は皆無で、興味も薄い。
にもかからず年末の旅行先としてエジプトを選んだのは、当初考えていたソマリア行きがテロの発生によって頓挫し、代案として浮上したニジェールもコストの関連で躊躇したからだ。いわば消去法による選択だ。
なにはともあれはじめて足を踏み入れるエジプト。旅のねらいを2つに絞った。ひとつはアスワン近郊のヌビアの村を訪れること。もうひとつはアラブの春の挫折が生み出したシシ大統領の強権政治のもとでのエジプトを垣間見ること。
かくして12月16日、23時35分関空発のエミレーツ機に搭乗した。ドバイで2時間ほど待ってからカイロ行きの便に乗り継いだ、だが搭乗が完了しても離陸する気配がない。結局1時間以上遅れてカイロに向かって飛び立った。この遅延はちょっと困る。というのも予約してあるホテルに出迎えのサービスを依頼してあったからだ。遅延を宿まで知らせたいが、もう搭乗している。
ところがどっこい、エミレーツでは飛行中でもWifiを利用できるのだ。エミレーツの会員番号とパスワードを入力すれば2時間、データ通信量20MBを上限としてネットに接続できる(2時間以上あるいは20MB超の通信は有料)。急遽、機内でネットに接続し、Skpeを使って宿に電話して、到着の遅延を知らせた。空港で無事出迎えと合流し、宿に着いたのは午後2時ごろだった。
予約していた宿はダウンタウンにある「ベニス細川家」。ホテル名から明らかなように、もっぱら日本人旅行者をターゲットとした、いわゆる「日本人宿」だ。トイレ・シャワー、朝食付きの個室で1泊13ドル。ここに2泊する。
目的としているヌビアの村を訪れるにはまずアスワンまで行く必要がある。往復ともに列車ないしバスにすれば安上がりだが、カイロからアスワンまでは10数時間かかる。短期旅行者にとって長い移動時間はできれば避けたい。長時間の移動は体力的にもきつい。夜行の寝台車という選択肢もある。夜の移動だから観光時間のロスにはならず、宿代も浮く。しかしカイロからアスワンまでの寝台車は飛行機並みに高くつく。結局、コストと時間ははかりにかけ、行きは飛行機、帰りはルクソール経由で列車ということにし、翌々日のアスワン行きの航空券の手配を宿に依頼した。
航空券の手配も済んだところで、街に出る。街に出たのはいいが、ストリート名の表示がほとんどないこともあり、ガイドブックの地図を見ても今の自分の現在地がさっぱりつかめない。工事のために狭くなっている道を通ってなんとか地下鉄のナセル駅までたどり着き、ナセル駅をランドマークとしてようやくおおよその方向をつかむことができた。
おおぜいの客で賑わっている安そうな食堂で遅めの昼食をとる。エジプトの安食堂で注文するのはそう容易ではない。まずレジで支払いを済ませ、渡された紙片をもって調理カウンターへ行き、料理が出てくるのを待つ。メニューは壁などに貼ってあるが(ときには写真付きで)、すべてアラビア語なので、まったく読めず、見当が付かない。
しかしたじろぐことはない。迷っていれば誰かが助けてくれる(場合が多い)。このときも付近の男が英語でメニューを詳しく説明してくれた。こうしてエジプトではじめて口にしたのが羊肉を挟んだサンドイッチ(トーストではなくコッペパンに挟んだサンド)だった。ミネラルウォーターと併せて確か13ポンド(約80円)だったように思う。
宿に戻って一休みしてから、日の暮れかかった街に再び出て、宿の近くの賑やかな大通りを歩く。あとで調べると、これは26th of July Steetと呼ばれる通りらしい。明るく装飾された大きな店が軒を連ねている。衣料や靴を売る店が多い。ショーウィンドウの一番上までこれでもかこれでもかというくらいに子供服、婦人服、紳士服が積み重ねて展示されている。人通りも多い。これほどの活気、これほどの消費力は予想していなかった。アラブの春とそれに続くモスレム政権、さらには軍事政権の中で、挫折感と失望がvisibleではないかと思っていたのだ。最近盛り返しているとはいっても、メインの産業の一つである観光業も10年前、20年前とは比べるべくもない。消費社会とは無縁な貧しい現実が目に入るのではないかとも予想していた。こうした思い込みは外れた。やはり実際に現地に行ってみないとわからない。
夕食はエジプトの国民食と呼ばれているコシャリをテイクアウトした。コシャリとはパスタとライスを混ぜ合わせ、トマトソース、チリ、酢をかけるシンプルな料理だ。サイズに応じて8~15ポンドと安い。店内の誰かに助けてもらい、10ポンド(約60円)のおそらくは中サイズのコシャリを注文した。
宿に戻って食べたコシャリは、特別おいしくはいが、まずくもなかった。急いでいるとき、他に何を注文していいかわからないときには便利な食べ物のようだ。
日本からの長いフライトで疲れているせいもあり、この日は部屋の灯りもも消さずに9時前に寝入ってしまった。
エジプトに行きたいという強い思いがあったわけではない。エジプトは辺境でもなく、少数民族の宝庫でもない。エジプトの古代史に興味があれば話は別だが、残念ながらそっちの方面の知識は皆無で、興味も薄い。
にもかからず年末の旅行先としてエジプトを選んだのは、当初考えていたソマリア行きがテロの発生によって頓挫し、代案として浮上したニジェールもコストの関連で躊躇したからだ。いわば消去法による選択だ。
なにはともあれはじめて足を踏み入れるエジプト。旅のねらいを2つに絞った。ひとつはアスワン近郊のヌビアの村を訪れること。もうひとつはアラブの春の挫折が生み出したシシ大統領の強権政治のもとでのエジプトを垣間見ること。
かくして12月16日、23時35分関空発のエミレーツ機に搭乗した。ドバイで2時間ほど待ってからカイロ行きの便に乗り継いだ、だが搭乗が完了しても離陸する気配がない。結局1時間以上遅れてカイロに向かって飛び立った。この遅延はちょっと困る。というのも予約してあるホテルに出迎えのサービスを依頼してあったからだ。遅延を宿まで知らせたいが、もう搭乗している。
ところがどっこい、エミレーツでは飛行中でもWifiを利用できるのだ。エミレーツの会員番号とパスワードを入力すれば2時間、データ通信量20MBを上限としてネットに接続できる(2時間以上あるいは20MB超の通信は有料)。急遽、機内でネットに接続し、Skpeを使って宿に電話して、到着の遅延を知らせた。空港で無事出迎えと合流し、宿に着いたのは午後2時ごろだった。
予約していた宿はダウンタウンにある「ベニス細川家」。ホテル名から明らかなように、もっぱら日本人旅行者をターゲットとした、いわゆる「日本人宿」だ。トイレ・シャワー、朝食付きの個室で1泊13ドル。ここに2泊する。
ベニス細川家が入っているビルの入口
ホテルの前の通り
目的としているヌビアの村を訪れるにはまずアスワンまで行く必要がある。往復ともに列車ないしバスにすれば安上がりだが、カイロからアスワンまでは10数時間かかる。短期旅行者にとって長い移動時間はできれば避けたい。長時間の移動は体力的にもきつい。夜行の寝台車という選択肢もある。夜の移動だから観光時間のロスにはならず、宿代も浮く。しかしカイロからアスワンまでの寝台車は飛行機並みに高くつく。結局、コストと時間ははかりにかけ、行きは飛行機、帰りはルクソール経由で列車ということにし、翌々日のアスワン行きの航空券の手配を宿に依頼した。
航空券の手配も済んだところで、街に出る。街に出たのはいいが、ストリート名の表示がほとんどないこともあり、ガイドブックの地図を見ても今の自分の現在地がさっぱりつかめない。工事のために狭くなっている道を通ってなんとか地下鉄のナセル駅までたどり着き、ナセル駅をランドマークとしてようやくおおよその方向をつかむことができた。
おおぜいの客で賑わっている安そうな食堂で遅めの昼食をとる。エジプトの安食堂で注文するのはそう容易ではない。まずレジで支払いを済ませ、渡された紙片をもって調理カウンターへ行き、料理が出てくるのを待つ。メニューは壁などに貼ってあるが(ときには写真付きで)、すべてアラビア語なので、まったく読めず、見当が付かない。
しかしたじろぐことはない。迷っていれば誰かが助けてくれる(場合が多い)。このときも付近の男が英語でメニューを詳しく説明してくれた。こうしてエジプトではじめて口にしたのが羊肉を挟んだサンドイッチ(トーストではなくコッペパンに挟んだサンド)だった。ミネラルウォーターと併せて確か13ポンド(約80円)だったように思う。
宿に戻って一休みしてから、日の暮れかかった街に再び出て、宿の近くの賑やかな大通りを歩く。あとで調べると、これは26th of July Steetと呼ばれる通りらしい。明るく装飾された大きな店が軒を連ねている。衣料や靴を売る店が多い。ショーウィンドウの一番上までこれでもかこれでもかというくらいに子供服、婦人服、紳士服が積み重ねて展示されている。人通りも多い。これほどの活気、これほどの消費力は予想していなかった。アラブの春とそれに続くモスレム政権、さらには軍事政権の中で、挫折感と失望がvisibleではないかと思っていたのだ。最近盛り返しているとはいっても、メインの産業の一つである観光業も10年前、20年前とは比べるべくもない。消費社会とは無縁な貧しい現実が目に入るのではないかとも予想していた。こうした思い込みは外れた。やはり実際に現地に行ってみないとわからない。
26th of July Steet
夕食はエジプトの国民食と呼ばれているコシャリをテイクアウトした。コシャリとはパスタとライスを混ぜ合わせ、トマトソース、チリ、酢をかけるシンプルな料理だ。サイズに応じて8~15ポンドと安い。店内の誰かに助けてもらい、10ポンド(約60円)のおそらくは中サイズのコシャリを注文した。
宿に戻って食べたコシャリは、特別おいしくはいが、まずくもなかった。急いでいるとき、他に何を注文していいかわからないときには便利な食べ物のようだ。
テイクアウトしたコシャリ
日本からの長いフライトで疲れているせいもあり、この日は部屋の灯りもも消さずに9時前に寝入ってしまった。
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