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2015年10月31日土曜日

北朝鮮鉄道の旅2015 六日目(10月7日)

清津観光旅館にはショップも併設されているが、朝は閉まっていた。残念。昨年このショップを訪れたときに出会った2人の若い女性店員に再会したかったからだ。北朝鮮の人、とりわけ女性はこちらから何か話しかけても必要最小限の返事しかしないことが多い。彼女たちは違っていた。私が少し朝鮮語を理解すると知るや、積極的に話しかけ、いろいろ質問してきた。だが、私の朝鮮語の力不足から話がほとんど進展せず、お互いにじれったい思いをした。あれから1年、私の朝鮮語になにほどかの進歩があったわけではないが、それでももう一度試してみたかった。和製英語でいう「リベンジ」だ。

朝食をとったあと、旅館をチェックアウトして、清津の観光に出る。
Koryo Toursのパンフレットによれば清津の観光には食品工場見学が含まれていたが、これはなくなり、代わりにトロリーバスの試乗が用意されていた。食品工場は昨年訪れているから、このほうがありがたい。残念ながら一般のトロリーバスに市民と混じって乗るのではなく、我々専用にチャーターされたものだ。車窓から眺める風景には興味深いものがあったが、写真撮影は禁止されていた。30分以上は乗っただろうか。

トロリーバスを背景に集合写真

乗車風景

続いて市の中央にある金親子の銅像に赴く。昨年訪れたときにこの場所に立っていたのは金日成の単独の銅像であり、前の広場や道路は工事中だった。清津に金親子の銅像が建ったことは朝鮮中央放送のテレビニュースで見た気がする。銅像を説明するガイドも去年とは別の女性だった。

こっそり撮った清津の一風景

次に訪れた電子図書館(咸鏡北道図書館)も私にとっては2度目。子供たちがコンピュータを使って勉強したり、遊んだり。タイピングの練習をしている子もいる。OSはWindows XPが多いようだ。

電子図書館

昼食時間も近づき、船員クラブに向かう。「北朝鮮2014」のブログで私は船員クラブについて「これは土産物屋、サウナ、レストラン、、バー、カラオケを備えた総合娯楽施設といったところ」と書いたが、「サウナ」というのは間違いだった。今回実際に利用してみてわかったが、ただの大衆浴場だ。しかも浴槽はなく(正確には浴槽はあったが、お湯でなく水が入っていたため浸かることはできなかった)、並んで座って蛇口とシャワーから出るお湯で体や髪を洗うだけだ。それでもお湯で頭を洗えるのはありがたかった。風呂はオプションで有料(いくらだったかは忘れた)。去年は確か1人か2人しか利用しなかったが、今回は私も含めツアー同行者のほぼ全員が利用した。

風呂からあがった我々はビールで一休み。徐ガイドが私に「日本語を勉強したいのだが、数ヶ月でしゃべれるようになるか」と聞く。日本人の観光客も案内したいらしい。「一所懸命やれば可能だろう」と答えておいた。日本語と朝鮮語の類似性に加え、中国語も知っている徐ガイドなら漢字もそう苦にならないだろうから、あながちでまかせの返答ではない。

船員クラブには理髪室もあり、JeremyとMarkは顔を剃ってもらっていた。
昨年船員クラブで昼食をとったときには冷麺だったが、今回は一般的な朝鮮料理だった。昼だからカラオケはない。カラオケとダンスこそが船員クラブの真価なのだが。

船員クラブの理髪室

昼食後は幼稚園訪問。昨年と同じ幼稚園で、昨年と同じ園長に案内される。前回とは異なり、算数の授業の見学(前回は植物の授業だった)。楽器練習の様子を見たあと、園児たちのパフォーマンスを鑑賞する。今回はミニスカートのバイオリン演奏もなく、先生たちの「ペウジャ」の歌唱もなく、モランボン楽団の影響は影を潜めていたが、別に意図的なものではないだろう。


子供たちのパフォーマンスになにかと懐疑的だった昨年のツアー同行者に比べ、今年は素直に感心している面々が多かった。Nickは確か「blown」(吹き飛ばされた)という表現を使っていたように思う。Oksanaも「(あの子たちの演技を目にすると)自分がuselessだと思ってしまう」と言っていた。Nickは海千山千のところがあるからどこまで本気かわからないが、Oksanaの感想は正直なところだろう。


JeremyとMonishaのカップルが私に「どう思うか」と聞く。「強制されているとは言わない。しかし、あのパフォーマンスにはいろいろな要因がからんでおり、そのすべてがポジティブであるわけではない。ネガティブな側面はさておき、彼らが達成したもの、彼らの努力は正当に評価すべきだろう」と答えておいた。なんとも回りくどく、中途半端な感想だ。

彼らが私たちを迎えて最初に歌ったのは定番の「パンガプスニダ」。「(お会いできて)うれしいです」という意味の歌で、これはまあいい。しかし次に全員で歌ったのは「김정은원수님 고맙습니다(キムジョンウンオォンスニム コマプスムニダ=金正恩元帥ありがとうございます)」という内容の歌だった。3歳から5歳の幼児にこうした歌を歌わせることの残酷さ。もちろん日本や欧米の子供たちも両親や社会環境、メディアなどによって知らず知らずに「洗脳」されているわけで、ありのままの素直な心で世の中を見ているわけではない。だが、北朝鮮のような直接的で露骨なイデオロギーの注入とは質的な差があるように思う。


幼稚園をあとにしたのは午後4時過ぎ。清津駅に向かい、元山行きの列車に乗り込む。はじめての夜行列車だ。寝台車のコンパートメントには4つのベッドが用意されいるが、2人で1つのコンパートメントを利用できる。私はNickと同じコンパートメントに入った。

予定外のことだが、ここで10数人のオランダ人のグループが元山まで我々と同行することになった。清津から平壌まで飛行機で帰るはずだったところ、飛行機の席がすべて埋まっていたらしい。次のフライトは3日後。そこで我々に便乗して、列車で元山に向かい、元山からそのままバスで平壌に戻ることになったらしい。中高年が主体のこのグループはオランダにある小さな旅行会社の世話で訪朝していた。

この日は列車に乗っている時間は長いが、その大半は夜なので、沿線の風景写真はあまり多くない。

沿線の風景 1

沿線の風景 2

沿線の風景 3

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