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2018年2月16日金曜日

エジプト2017 十二日目(帰国、まとめ)

12月28日。

帰国の日。フライトは19時5分。午後3時に空港行きの車が宿に迎えに来る。

9時ごろに朝食をとる。テラスの床に座っての朝食。日本人男性とウクライナ人女性の2人連れが食事にやってきた。この2人組とはエジプト初日にもこの宿で顔を合わせていた。私がアスワンやルクソールを旅行していた間、彼らはずっとここに滞在していた(2人が部屋を一緒にしていたかどうかは確かでない)。「ビジネス」でカイロに来たとのことだった。

日本人男性は40歳代くらい。背はあまり高くなく、眼鏡をかけ、少し禿げかかっている。失礼ながら、つまりはただの「おっさん」であり、服装からしてもビジネスマンらしくはない。ウクライナ女性は年の頃20歳代の半ばから後半。派手な感じではなく、学生あがりのようなごく普通のかわいい女性だ。

この2人とは英語で話したが、男性だけと話すときは日本語に切り替えた。

この一見したところぱっとしない男性、異色の経歴だった。女性がテラスから引きあげたあと、日本語で次のように話してくれた。

ラオスとの国境に近いタイの町で、タイ人の奥さんと息子と暮らしている。タイに住んで17年、息子は日本語をほんとんど話せない。

「ビジネス」とはカジノで稼ぐことだ。今年は、ときどきタイに帰りながら、ずっとカイロのカジノに通っている。

プロのギャブラーになってからすでに13年が経過する。もちろんエジプトだけでなく、ラスベガス、マカオ、韓国など、いろいろな国のカジノに出没している。ラスベガスでは、カジノからカジノへと自転車で通っていた。

世界を股に掛けた日本人のギャンブラーの話はときどき耳にするが、実物に会うのはじめてだ。ウクライナ人女性とどのように組んでいるのか興味深いところ。もっといろいろ話を聞きたかったのだが、今日は私の最後の日で時間がなかった。

11時近くにいったんチェックアウトし、荷物を預けて外に出た。アタバのスークを突き抜けた裏通りや路地を歩く。動画を撮っていると、老人からひどく怒られた。エジプトは写真や動画を撮りやすい国だと思っていたが、そうとも限らないようだ。このとき撮っていた動画は老人の目の前で消去するしかなかった。

裏通りで出会った少女たち

散髪屋があったので入る。バリカンでかなり短くされた。料金はたったの20ポンド(120円)。アジアやアフリカで何回か散髪する機会があったが、平均して300円くらいはかかる。これほど安いのははじめて。

散髪屋の主人

さてせっかくのエジプトだが、これまでのところサンドイッチやコシャリなどの安い食べ物しか口にしていない。最後にちゃんとした料理を食べたい。ということで、26th of July Steetから少しはずれたところにある(私にしては)高価そうなレストランに入った。注文したのはミックスグリルと茄子、それにマンゴージュース。値段は忘れてしまったが、日本円で1000円くらいはしただろうか。

レストランで昼食

食事を終わると、2時を過ぎているので、宿に戻り、空港行きの送迎車を待つ。同じエミレーツのフライトを利用して関空へ帰る日本人が私のほかにもう一人いた。同行者がいると、なんとなく心強い。

ドバイでの乗り継ぎ時間が2時間30分だったので、少し不安だったが、余裕で間に合った。12日間に及ぶはじめてのエジプト旅行の終わり。

最後に簡単にまとめておこう。

今回の旅行の目的は、ヌビアの村を訪れることと、シシ大統領の強権政治のもとでのエジプトの「空気」を感じることだった。

確かにヌビアの村は訪れた。しかしヌビアの文化(特に音楽と踊り)にふれることはできなかった。まあこれは予想していたことだ。ともかく訪れたということで満足しておこう。

強圧的なシシ政権のもとでも、エジプトは予想以上に活気があった。メインストリートには衣服や靴が文字通り山積みされ、賑わっていた。だが、シシ大統領がエジプトポンドをフロートさせ、変動相場制に移ったことから、通貨価値が大幅に下落している。外国からの旅行者には好都合だが、現地の人たちは輸入品の高値に直撃され、生活は楽ではないだろう。

にもかかわらず、現政権を公然と批判する声は聞かれなかった。ヌビアの運転手が「エジプト人はみんなシシを嫌っている」と言っていたのを除いて。多くの人にエジプトの現状について尋ねてみたところ、「これでいいのだ」というのがほとんどの人の反応だった。といっても、現政権を積極的に肯定している感じではなく、曖昧な物言いだったのが印象に残る。「問題はない」と言いつつも、表情は晴れやかでない。

徒労に終わったアラブの春のあと、今の政権にたてつくようなエネルギーはもうないのかもしれない。それに、シリアやリビアの現状を見れば、「今のままのほうがまだましだ」と考えるのもうなずける。

バングラデシュやエチオピアとは異なり、ストリートチルドレンや物乞いはあまり目に付かなかった。しかし、普通の格好をした大人や子供たちからさえ「マネー」、「バクシーシ」、「ワンドラー」などの、お金を請う言葉を聞くのも一度や二度でなかった。カイロでも、アスワンでも、ルクソールでも、そしてヌビアの村でも。おまけにピラミッドでは手の込んだ詐欺に遭遇した。

あまり愉快な経験ではないが、これだけがエジプトではない。数多くの人に無償で助けて貰ったこと、数多くのフレンドリーな人々に巡り会えたことも付け加えておかなければならない。

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