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2015年8月26日水曜日

アフガニスタン2015 治安

アフガン旅行でもっとも気になるのが治安だ。タリバンに加え、イスラム国(IS)がアフガンへ触手を伸ばしている今、状況は決して楽観できない。政府とタリバンの交渉の兆しも見えるが、交渉を有利に進めるためにタリバンが攻勢を強める可能性もある。実際、私が発った3日後の8月7日にはカブールで連続テロが発生し、少なくとも50人が死亡している。

私もUntamed Bordersのサポートがなければたぶん踏み切れなかっただろう。いずれにしても我々日本人には、アフガニスタンに知人か友人でもいない限り、Untamed Bordersに頼るしか観光ビザを取得する手立てがない。いうまでもないが、Untamed Bordersでは客の安全に細心の注意を払っている。ひとりでも死者が出ればend of businessであることは十分に承知しているようだ。現地にさまざまな情報のネットワークを持ち、ここで詳細を書くことは控えるが、ゲストハウスの選択、飛行機がキャンセルされた場合の移動手段などについても二重三重の策を考えている。

だからといって安全が100%保証されるわけではない。行くか行かないかは最終的には個人の決断になる。アフガニスタンに限らず、現在の状況下のエジプトやトルコへ行く場合でも同様だろう。誰かが安全だと言ったとしても、それを全面的に信頼して旅を組み立てるわけにはいかない。逆にどこそこが危険だという情報に過度に左右されていれば、世界広しといえど、ほとんど行くところがなくなってしまう。いろいろな情報を集めることはもちろん必要だ。しかし、そのうえで決断するのは自分しかない。他人があなたに代わって判断してくれるわけではない。

カブールは今まで訪れたどの場所よりも警戒が厳重だった。カブール空港に着陸したときには、何機もの軍用機や軍用ヘリコプターを見かけた。街に出れば、空にはヘリコプターが頻繁に飛んでいる。街の状況を偵察するためのヘリコプターかと思ったが、ガイドのGullに聞くと、大使館員たちが移動に使うヘリコプターらしい。Gullは「カブールは渋滞しているので」と説明していたが、渋滞よりもセキュリティが理由だろう。ちょっとした建物には有刺鉄線が張られ、ゲートは武装した警備員で守られている。だが、これでは泥棒ぐらいは防げるかもしれないが、死を覚悟した組織的な攻撃にはひとたまりもない。
ゲストハウスの前で

狙われやすいのはバザールやモスクなど人がたくさん集まる場所、それに外国人が多い高級ホテルやレストランなどだ。おかげで高級ホテルはがらがら。宿泊費を下げるしかない。逆にあまり目立たない中級ホテルのほうの宿代は上がる。この結果、中級ホテルのほうが高級ホテルより高いという逆転現象が一部で発生しているという。

こんなカブールだが、街を歩いていて、レストランで食事をしていて、あるいは観光サイトで写真を撮っていて、危険を感じるようなことはなく、特に緊張することもない。ガイドと一緒ということもあろうが、これはまあ当たり前で、危険を感じるようなことがあれば、それはもう何かが発生しているときだ。どんな状況でも日常生活は続く、続けざるを得ない。

バーミヤンはカブールに比べてずっとリラックスしているが、それでもホテルシルクロードやその隣の高級ホテルには有刺鉄線があり、武装警備員が配置されていた。一見平和なだけに、この平和がどこまで続くか危惧と不安が強くなる。

現在のところ、おおよそ安全といえるのはカブール、バーミヤン、ヘラート、マザーリシャリーフ、イシュカシムくらいか。ジャラーラーバードは微妙だが、イスラム国の影響が強まっているらしい(今年4月に発生した銀行襲撃のテロはISによるものと言われている)。Untamed Bordersによると、陸路で安全なのはカブールとマザーリシャリーフをつなぐ道路だけ。他は空路になる。

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