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2015年8月30日日曜日

アフガニスタン2015 心残りと後日譚

今回は全行程ガイド付きの旅だった。先にも書いたが、アフガニスタンに知人か友人でもいない限り、ガイドなしの自由旅行で観光ビザを入手する手立てはない。2年前にはタジキスタンのホーログで簡単にビザを取得できたが、現在はその道も閉ざされている。EUのパスポート保持者ならドバイですぐにビザを入手できるが、日本人や韓国人には難しい。アフガニスタンが我々を差別しているのではなく、それぞれの国の政府の意向だ。

ガイドに従う旅は楽だが、楽なだけに、その土地に実際に足を踏み入れたという感覚が希薄になる。迷いながら宿を探し、部屋を見て、値段を確かめ、気に入らなければ別の宿にする。移動のためのバスやタクシーを見つけ、必要ならば交渉する。レストランで何が出てくるかわからないような料理を注文する。ときにはぼられることもあろう。宿やバスがなかなか見つからなくて多くの時間を無駄にすることもあるかもしれない。しかし、こうした苦労と無駄を通じて、その街を自分の足で歩き、少しは知ったという気になる。

もちろんガイド付きの旅には利点も多い。観光ポイントを効率的に廻れるのもそのひとつ。アフガニスタン旅行のためのガイドブックは少ない。私の知る限りでは、Lonely PlanetのCentral Asiaに収録されているAfghanistanのchapterくらいだ。Lonely PlanetはChapterごとに5ドル弱でPDFファイルを購入できるので便利だ。しかしこのChapterは古い。出版の日付が明記されていないのでよくわからないが、記載されているのはせいぜい2009年ごろまでの情報だ。ガイドがいなければバーミヤンのDragon Valleyなどは完全に見逃していたかもしれない。

バーミヤンの子供たち

もっと重要なのは、ガイドなしでカブールをうろつくことの危険性だ。ひとりで空港に降り立ち、信頼できるかどうか定かでないタクシーに乗るのはいいが、どこへ行けばいいのか。最新の宿情報などどこにもない。中級のゲストハウスなどはセキュリティの関係から看板すら出していない。ガイドによると、撮ってはいけない建物に向かってカメラを構えていた外国人旅行者が警察に捕まり、5、6日ほど拘留されたあと国外追放になったこともあるという。

カブールではガイド付き、比較的安全なバーミヤンでは自由旅行という組み合わせ形がベストかもしれないが、「自由旅行」といっても結局のところは車やドライバーを誰かに依頼しなければちょっと離れた場所の観光は不可能だ。

アフガニスタンが直面する問題の深さはいまさら言うまでもない。治安と貧困と麻薬。これらが互いに因となり果となって絡み合っている。2年前に訪れたアフガニスタンのイシュカシム。のんびりした農山村だ。マザーリシャリーフから来た男は「ここはアフガニスタンでも最も貧しい地域だ。見ればわかるだろう」と言っていたが、アフガンがはじめての私には他の地域と比べようもない。多少は知っているエチオピアやマリ、バングラデシュと比較すれば、まずまずの暮らしぶりで、極度の貧困や荒廃は感じられなかった。

イシュカシムの子供たち(2年前)


しかし、イシュカシムから帰国し、ネットで調べているうち、イシュカシムにおける麻薬汚染の深刻さを取り上げた記事を発見した。日系米人の写真家によるその記事は「イシュカシムの成人の半分以上は中毒者」と伝えていた。アフガニスタンでは、機織りなどの過酷な労働を原因とする痛みを和らげるためにアヘンは古くから広く使われていた。だが、内戦が続き、経済が行き詰まる中、そのアヘンやさらにはヘロインが社会の深部にまで度を超して浸透しているのだ。いまやアフガニスタンは世界最大のアヘンやヘロインの生産国であるだけでなく、その最大の消費国でもある。

たった3日間の滞在であるとはいえ、私はいったい何を見ていたのだろう。イシュカシムの牧歌的な風景の裏側にあるもの、平和なたたずまいのすぐ下に潜んでいるものはまったく見えていなかった。今回のカブールとバーミヤンへの旅でも同じことが言える。

今回の旅行のガイドたちも麻薬や貧困の問題の深刻さを認めていた。しかしカブールで見かけたのはひとりの中毒者が路上に横たわっていたのと、ブルカ姿の2人の物乞いくらいだ。これもガイドに従うだけの街歩きの限界だろうか。中毒者が集うカブール川の岸辺にでも行けば、また違った光景が見られたかもしれない。そうした場所に赴くのが賢明かどうかは別にして。

もとよりジャーナリストでもなく、現地の言葉を何一つ知らない私がたった6日間の滞在で、見て、知って、理解できることには自ずから限りがある。しかし、表面の観察にとどまらず、もう少し何かつかみたかったという悔いは残る。

Untamed BordersのJamesやKausarには「私の写真やビデオは自由に使ってもらって結構」と伝えてあった。Untamed BordersのWebサイトにはさっそく「first Japanese Guest」の短いニュースがアップされ、そのFacebookには何枚かの写真も紹介されている。
http://www.untamedborders.com/untamed-borders-guides-its-first-japanese-guest-in-afghanistan/

私自身も20本余りの動画を作成し、Youtubeにアップした。たとえば


 

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