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2016年1月5日火曜日

ブルキナファソ2015 12月17日その2(ボボ・ディウラッソ)

Ententeホテルを出ると、さっそく自称ガイドの声がかかる。「ガイド」してもらう気はさらさらないが、少し情報を得ておこうと、ライブ音楽をやっている場所を尋ねた。なんと、あてにしていたLes Bambousはもうやっていない(fermé)というではないか。1泊3700円という(私にとっては)高価なEntenteホテルを選んだのも、このライブ会場に近いからだったのだが。他にライブをやっているレストランというと街外れにあるLe Bois d'Ebeneくらいしかないらしい。ライブが始まるのは夜の9時からだという。

Les Bambousはホテルから歩いて5分ほどなので、ほんとうに営業していないかどうか確かめに行く。自称ガイドの言うとおりだった。周りにいた人にも聞いてみたが、やはりやっていないらしい。

まだ日は暮れていないので、ともあれボボの街の探索に出る。まず驚かされるのがモーターバイクの数。首都のワガドゥグよりも多い感じだ。ワガドゥグは大きな街で、混雑もあちこちに分散しているが、ボボは人とモーターバイクが比較的狭い場所に集中しているせいかもしれない。「ブルキナファソはマリの田舎」という思い込みはこれで完全に砕ける。

ボボの喧噪

市の中心にはGrand Marche(グランド・マーケット)がある。こちらはワガドゥグのものほど大規模ではないが、活気や熱気はワガドゥグに劣らない。

ボボのグランド・マーケット

夕食はホテルの近くの食堂でとった。客は私以外にいなく、接客もあまりやる気がなさそうだった。肉汁とライス。肉は確かチキンだったように思う。値段は忘れた(ということは特に高くもなく安くもなかったということだ)。

夕食

宿に戻って一休み。ブルキナファソに到着してからいつも夜9時ごろには就寝していたのでちょっとつらいが、Le Bois d'Ebeneのライブに行くつもりだ。Le Bois d'Ebeneは宿から遠い。歩けば30分、いや40分くらいかかるだろうか。暗闇の中で見知らぬ道を歩くつもりはなく、8時15分くらいになって宿を出て、タクシーを拾う。代金は1500CFAとのこと。10分たらずでレストランに着いた。

Le Bois d'Ebene

テーブルチャージとして500CFAを払う。欧米人を含む20人ほどのグループや地元の客などで席の半分ほどは埋まっている。前方のテーブルに席をとり、ビールを注文して演奏の始まりを待つ。演奏は9時半ごろから始まった。舞台上の垂れ幕にはJazz、Rockなどの文字が書かれていたから、ひょっとするとジャズやロック、はたまたヒップホップが始まるのではないかと危惧していが、登場したのはジャンベ、バラフォンといった西アフリカの楽器とギターで、まぎれもなくブルキナファソの、西アフリカの音楽が始まった。ジャズやロックが嫌いなわけではない(ヒップホップは嫌いだが)。だが、今ここでは聞きたくない。ここで聞きたいのは西アフリカの楽器であり、西アフリカのリズムであり、西アフリカの歌だ。若い女性のボーカルがよかった。リズムに乗ったふりと伸びのある声。

ライブ音楽

演奏を動画に収めながら音楽を楽しんでいると、私のテーブルに男が近づいてきて英語で挨拶し、このグループのCDを売りつけようとする。断ると、「CDを買わないなら動画を撮るな。買えば撮影していい」と言う。男がレストランのスタッフかどうかはわかならいが、CDを購入すれば撮影していいというのはばかげている。ただこのグループのCDなら購入してもいいという気持ちも少しはあった。値段を聞いてみる。10000CFA。法外な値段だ。再度断ると、5000CFAにまで下がった。ここでついこの値段で買ってしまった。「動画の撮影を許さない」という脅しが効いていたのかもしれない。ワガドゥグで役立たずの地図を買ってしまったことに次ぐ2度目の失敗。帰国してからわかったことだが、このCDは新品ではなく、まともに再生できない欠陥品だった。地図の件はこちらの不注意だが、このCDの件は明らかにcheating(欺し)だ。

マリではブルキナファソ以上に自称ガイドのつきまとわれたが、こちらを欺そうとする手合いには出会わなかった。彼らとの会話はそれなりにおもしろく、役に立つ情報も得られた。うっとうしいと思った体験も今となっては懐かしい思い出になっている。しかし、少額とはいえ欺された体験はいつまでもトゲとして刺さる。

演奏は続き、飛び入りの客たちの踊りとジャンベの掛け合いで佳境を迎えている。しかしもう夜も11時を過ぎている。帰りの足が心配だった。このレストランは人気のないところにポツンと建っている。真っ暗な見知らぬ道を30分も40分もかけて帰るのは不可能に近い。危険でもある。この時間、この場所でタクシーが捕まるかどうか。いつまでぐずぐずしていても仕方ない。外に出ようとすると、さっきCDを売りつけた男がどこからか私に近づき、「もう帰るのか」と聞く。だったらモーターバイクでホテルまで送っていくというのだ。これは正直ありがたかった。レストランの前にモーターバイクがずらりと並んでいる。大半の客はモーターバイクで来ており、タクシーなど通っていそうにない。

無料で送ってやるということだったが、宿に着くと案の定「ガソリン代」を要求してきた。

この男には翌日にも遭遇した。ボボの街の「ガイド」をしつこく勧誘してきたが、もちろん断った。この男のおかげでせっかくのライブ音楽に小さな汚点が残った。「ブルキナファソはマリの田舎みたいなところで、いい人ばかり」という幻想も吹き飛んだ。

ブルキナファソの名誉のために付け加えておけば、多少なりとも金銭的な「被害」に遭ったのはこのときだけで(地図の件は私の不注意としておこう)、「のんびりしていて人がいい」というのは大半のブルキナ人に当てはまる。道を聞けば親切に教えてくれるし、バスの中では食事を分かち合おうとしてくれる。

CDを売りつけた男も売りつけざるをえない事情があったのかもしれない。多少英語は話せる。仕事はない。ボボはブルキナファソのなかでは観光客が多いところだが、それでもたかがしれている。まともなガイドでは食べていけず、たまに遭遇する外国人を「欺す」しか生きていく手段がないのかもしれない。

Honestyこそがビジネスの最強の武器であり、最善の戦略だと思うのだが、どうだろうか。それとも現実を知らない戯れ言に過ぎないのだろうか。もしあのライブ会場で男が真摯に対応してくれていたなら(たとえば料金をちゃんと明言したうえでモーターバイクで宿まで送ってくれただけだったら)、次の日のガイドの誘いにも乗っていたかもしれない。そのうえ、同じ金銭を稼ぐのだったら、相手の喜ぶ顔を見て稼ぐほうが気持ちがいいのは人間の性だし、長続きもするだろうに。

同じようことはエチオピアでも感じた。しかし、こうした甘い見方を許さない現実があるのかもしれない。

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