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2016年11月8日火曜日

ブルガリア・ルーマニア2016 八日目(シギショアラ)

10月2日。

朝食は別料金で5ユーロする。ルーマニアにしては少し高いが、スーパーでパンを買うだけの朝食にはあきていたので、頼んでおいた。パン、ハム、チーズ、オムレツに果物、ジュース、コーヒーと、5ユーロという価格が十分に納得できる内容だった。

ゲストハウスでの朝食

今日は2時から「ルーマニアの田舎」に連れて行ってもらうことになっている。自由な午前中をどう過ごすか。明日はブカレストへ戻る予定なので、まず列車の切符を買っておこう。20分あまりかけて徒歩で駅まで行き、午後2時ブラショフ発7時30分ブカレスト着の切符を67レウで購入した。

帰り道、ルーマニア正教の教会の前のベンチでしばらく休む。今日は日曜日であり、ミサの声が聞こえる。小さな子供を連れた家族などがぽつぽつ教会の中へ入っていく。

ルーマニア正教の教会

旧市街に戻り、近くの小公園で休む。このとき財布をベンチの上に置いたまま別のベンチに移動してしまった。10分近く経っただろうか、財布がないことに気付いた。カバンの中や衣服のポケットを必死に探してもない。急いで10メートルほど離れた元のベンチに戻ろうとすると、「あなたの探しているのはこれ?」と財布を差し出す2人連れの女性。サングラスをかけており、観光客だろう。ほっとしてお礼を言う。前日の切符の紛失といい、この失態といい、うっかりしているにもほどがある。財布の中にはルーマニア紙幣とユーロ紙幣が合計で1万円ちょっと入っていた。旅行を続けるには支障がないものの、食事代や宿代をちまちまと節約していたこともあり、見つからなかったらかなり落ち込んでいたことだろう。

昼食用の総菜パンを買って宿に戻り、農村に連れて行ってくれるドライバーを待つ。

ドライバーの中年男性は2時少し前に来た。幸い英語をしゃべれるようだ。これから訪ねるのはBiertan(ビエルタン)という村。あとでわかったことだが、これはただの農村ではなく、世界遺産の城塞(citadel)がある観光スポットだ。私が望んでいた「ルーマニアの普通の農村」ではない。しかし結果的にはこのほうがよかったかもしれない。今日は日曜であり、「ただの農村」を訪れても、農作業を見ることはかなわず、人にも出会わず、ただ行って帰ってくるだけに終わっていただろう。

シギショアラからビエルタンまでは車で3~40分の道のり。本職は映像関係(シネマトグラフィ)でフランスなどの西ヨーロッパやエチオピアにも行ったことがあるというドライバーと話す。

まずロマ(ジプシー)について尋ねてみる。
「ジプシーは嫌いだ。ジプシーの男たちはおよそ働くということを知らない。ジプシーにはお金をやるな。財布のありかを知られたら、全部とられてしまう。」

ルーマニアの現状についてはどうだろうか。
「チャウシェスクの時代のほうがよかった。あの時代はみんなが仕事を持っており、自分の家に住んでいた。今は仕事を見つけるのは難しく、家は高すぎて買えない。EUに加入してもいいことはなかった。外国の商品が入ってくるだけで、ルーマニアから輸出するものはない。」

しかし、今はチャウシェスクの時代にはない言論の自由や表現の自由があるではないか。
「へっ、言論の自由? それがどれほどの価値を持つのだ。」
「今の政治は腐敗している。選挙になれば政治家たちが村にやってきて、古い携帯電話を年寄りたちに配り、票を買っている。」
「それでも俺にとってはルーマニアがベストだ。いろいろな国に行ったことがあるが、やはりこの国に残りたい。この国には美しい山があり、海がある。」

私が「そして女性たちも美しい」と付け加えると、「そのとおり。世界で一番美しい女性はルーマニア人とウクライナ人だ」と返す。

ビエルタンに到着した。ドライバーは車の中で待ち、私はひとりで散策する。村を一望する丘の上にある小さな城塞に登る。外国人も含めちらほらと観光客がいるが、そのほかには物音ひとつしない。晴れた日の穏やかな光景が広がっている。

ビエルタン

城塞を下り、あてもなく村の道を歩く。人影はほとんどない。動画を撮りながら歩いていると、戸口に座っている年輩の女性2人が手を振ってくれる。クルミ割りの作業をしていた4人の少女たちが「ハロー」と挨拶してくる。少女たちに飴をひとつずつ与えると、お返しにクルミをくれた。

ビエルタンの村道を歩く

村で1時間余り過ごしたあと、車に戻り、シギショアラに引き返した。代金は前日に確かめたとおり150レウ(3700円ほど)だった。高いか安いかはわからないが、ビエルタンまではバスも通っておらず、いずれにしてもタクシーをチャーターするしかない。

まだ陽も暮れていないので、シギショアラの旧市街をもう一度探索する。山の上の教会にも行った。

夕食はあまり客の入っていないレストランでとった。ルーマニアの伝統料理をリクエストしたところ、何か白いもの(サワークリームだろうか)の中にソーセージやキャベツを詰め込んだディッシュが出てきた。これはおいしかった。昨晩のShaormaもおいしかったが、あれはルーマニア料理とはいえない。今回の旅ではじめて遭遇した、期待通りのルーマニア料理だった。

レストランで夕食

旅もいよいよ終盤。明日はブカレストへ戻り、明後日は帰国となる。

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