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2015年11月25日水曜日

ソマリランド2011 ベルベラ

1月29日。ソマリランド3日目。

今日はベルベラへ行く日だ。ベルベラはハルゲイサから160kmほど離れた港町で、車で4時間ほどかかる。ベルベラ行きの乗り合いタクシーはすぐに見つかった。料金は6ドル。タクシーは座席がすべて埋まるまで出発しない。

1時間くらいは待っただろうか。座席がやっと埋まり、出発。半分砂漠のような荒涼とした光景が続く。カラフルなのは「アフリカの花」と呼ばれるプラスチック袋のゴミくらいだ。途中何回かパスポートのチェックがあった。そのつどパスポートと昨日入手したletter of permissionを見せる。

昼食のための休憩をはさみ、車はやがてベルベラに着く。

車から降りるやいなや、近くにいた老人が学校の制服を着た5、6人の少年に「この人をホテルに連れていってやれ」と指示したようだった。どのホテルかもわからず、少年たちについていく。5分ほど歩くと、ホテルらしき建物にたどり着く。バス・シャワー付きのシングルで1泊9ドルとのこと。もっと安いホテルもあるかもしれないが、そう悪い部屋でもないし、どこを探すというあてもないので、ここに泊まることにした。

少し休んでさっそく街に出る。ハルゲイサでも多くの人が声をかけてきたが、ベルベラは度を超えていた。もっとも多いのは「How are you?」という挨拶だ。歩きながら、「Good、Good」とひっきりなしに返事しなければならない。


ベルベラ1

ベルベラ2

ベルベラ3

ベルベラ4

ベルベラの子供たち

道端でお茶を一杯飲もうとすると、人が集まってくる。私がお茶を飲むのを10人以上のソマリア人が見守っている。携帯電話を出して私の写真を撮る人まで出てくるしまつ。注目されるのはいいが、これはちょっと疲れる。

ソマリランドで写真を撮るのに神経を使う。被写体でもない周りの人から「撮るな」と言われることも少なくない。女性を撮るときには特にそうだ。ハルゲイサでは、承諾を得たうえで4、5人の若い女性を撮ろうとしていたところ、周りの誰かからストップがかかった。

そのくせ私の写真は許可なしで撮る。私も遠慮せずにチャットを売っている女性の写真を撮った。チャットはカートとも呼ばれる葉っぱで、覚醒作用をもたらす一種の麻薬だ。といっても麻薬効果はごく弱いため、エチオピア、ソマリランド、イエメンはもちろん、日本や米国でも非合法ではない。効果が弱いから、大量の葉っぱを長時間かみ続ける必要がある。多くの男たちが午後の長い時間をチャットをかむことに費やすのが労働生産性にいいわけはない。イスラム教徒の男たちにとって酒の代用となっているようだが、経済に与える悪影響は酒よりも大きいかもしれない。

チャット売りの女性

海岸にはほとんど人がいなかった。泳ぐには寒すぎる。もう少し探訪すれば廃船が停泊している光景も見られたかもしれない。

街を歩いていると、黒いベールを被った女子高生らしき6、7人が私のほうに近づいてくる。そのうちの1人が「ハロー」と言いながら、私のほうに手を差し出す。当然握手する。と、手を握った瞬間、相手はすばやく手を引っ込め、全員がワーと蜘蛛の巣を散らすように逃げ去った。あれはいったい何だったのだろうか。

夕食を済ませてホテルに戻ると、ロビーのテレビがアジアカップ決勝戦を放映していた。日本対オーストラリアだ。部屋にはテレビがないので、ホテルの受け付けの男性と別の宿泊客1人と一緒に観戦することにした。どちらも英語をしゃべる。ソマリランドはイギリスの旧植民地であったうえ、diasporaが多いこともあり、英語がかなり通じる。受け付けの男が「俺はオーストラリアを応援するが、お前はどちらを応援するのか」と聞く。「日本人だから、日本を応援する」と答えておいた。ほんとうはどちらでもよかったのだが、「どっちでもよい」ではあまりにそっけない。このときの試合は日本が勝った。

当初はベルベラに2泊する予定だったが、ごく小さな街であるうえ、注目度の高さに疲れたこともあり、1泊で切り上げることにした。翌日丸1日をこの街で過ごすことが少し重荷に思えたのだ。

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