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2015年11月1日日曜日

北朝鮮鉄道の旅2015 七日目(10月8日)

北朝鮮での初めての夜行列車体験。「ガタゴトいうリズムが心地よく、よく眠れた」という同行者もいたが、私は夜中に何回か目を覚ました。環境が変わるとどうしても眠りが浅くなるのは私の体質だ。朝の6時前には完全に目が覚めていた。


朝食はもちろん列車の中。午前10時ごろに元山(원산=ウォンサン)の駅に着いた。私が元山を訪れたのは5年前で、これが2度目の訪問となる。東明旅館(ドンミョンリョガン)にチェックインしたのち、元山の観光が始まる。

結構モダンな元山駅

まず訪れたのは日帝時代の元山駅。このときには説明がなかったが、あとで調べると、オリジナルではなく、復元されたものらしい。解放後に凱旋した金日成はこの駅から平壌に向かったという。駅のそばに「東洋旅館」があり、金日成が泊まったとされる部屋も復元されている。「東洋」とは日本語では「オリエント」を意味するが、中国語では「日本」を指すらしい(Lloyd談)。駅には日帝時代の時刻表や運賃表の掲示もあった。「パシニ 3」という蒸気機関車も展示されていた。「パシニ」とはおよそ日本語らしくなく、まがいものかとも思ったが、これもあとで調べると「パシフィック形の2」の略らしい。

日帝時代の元山駅

時刻表

旧元山駅に展示してある「パシニ」の蒸気機関車

元山の中央広場には金親子の銅像が立っているが、礼を捧げることはなく、通り過ぎただけだった。5年前も同じだった。平壌、咸興、清津では銅像の前で一礼をしたものだが、なぜか元山の銅像は無視されているようだ。

万景峰号が停泊している港を見ながら、メインの通りにある小さな美術館に入る。5年前にも訪れたところだ。ここに展示されてる絵画やポスターは購入可能だ。50ユーロ、100ユーロと結構高価だが、かなりの同行者が購入していた。米軍をやっつけている類いの、いかにも北朝鮮らしいモチーフに人気が集まっていた。

昼食は東明旅館でとった。煮魚は出たが、期待していた刺身は出なかった。

訪問先が限られていた咸興とは対照的に、元山ではいろいろなところを訪れる多忙なスケジュールとなっている。昼食後に向かったのは近郊の協同農場。2年前に沙里院の農場を訪れたときと同様、農場の案内人(中年の女性)の説明は、農業のやり方や技術にふれるのではなく、もっぱら金正日がいつここを訪れ、どのように指導したかに終始していた。柿の木が多くあるのも金正日(金日成だったかもしれない)の指導によるものらしい。

農場では、トウモロコシを周り一体に広げ、数人でその粒をとる作業が進行していた。これはこの時期の北朝鮮ではいたるところに見られる風景だ。


農場に付設されている幼稚園も訪れた。といっても外から園児たちを見ただけだが、私にとってはこれがこの農場見学のハイライトだった。この幼稚園を訪れた動画はYoutubeにいくつか上がっている。したがって園児たちにとって私たちが初めての外国人というわけではないのだが、特別な芸を披露するのではなく、特別に可愛くもなく、特別に着飾ってもいない普通の子供たちを見るとホッとし、懐かしい感じがする。たとえ演出された出会いであったとしても。


協同農場の子供たち(Jonathan撮影)

案内人のお宅も訪問した。家にいた若い2人の姉弟に朝鮮語で話しかけ、写真撮影の承諾を得る。中学生か高校生くらいだと思っていた娘さんが20歳だと知ってちょっとびっくり。

協同農場の家の中
子供と一緒に

続いて子供たちのための国際キャンプ場を訪れる。帰国してから調べると、正式な名称は朝鮮松涛園国際少年団野営所というらしい。「国際」を冠したキャンプ場だが、我々が訪れたときには、北朝鮮の子供たちしかいなかった。キャンプ場の女性ガイドの説明によると、外国の子供たちが訪れるのは7月下旬から8月にかけてであり、ロシア、中国、ブラジル、パキスタン、ナイジェリアなどから来るという。

キャンプ場のガイドと見習いガイドの深

旧元山駅も協同農場もキャンプ場も私にとっては初めての訪問先だった。5年前に来たときには何をしていたのだろう。通りや埠頭を散策しただけだったのかな。

夕方になると、10日の朝鮮労働党創設70周年に向けて前々夜祭のダンスが広場で始まった。元山の大学生たちによるダンスだ。5年前に元山を訪れたのが10月10日だったこともあり、このダンスを見るのは初めてではない。ツアー同行者の何人かも踊りの輪の中に入っていたが、私は遠慮した。

広場のダンス

ダンスを見ている女の子

夕食も東明旅館で。夕食には焼き魚と煮魚が出た。この日朝から姿を消していた韓ガイドが夕食時に現れる。元山出身の彼は実家に帰っていたらしい。

元山での夕食

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