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2015年11月27日金曜日

ソマリランド2011 再びハルゲイサへ

1月30日。ベルベラを1泊で切り上げ、ハルゲイサへ戻ることにした。

朝、ホテルを出て、通りすがりの老人に乗り合いタクシーの場所を尋ねる。ここでもちゃんと英語が通じる。老人はタクシーが停まっている場所まで歩いて案内してくれた。途中、通りの真ん中で、40歳くらいの女性が上半身裸で何かわめいていた。老人は「クレージーだから、こっちの道を行こう」とその女性を避けた。もう少し様子を見ておきたかったが、そうもいかない。
ベルベラ


タクシーの座席が埋まるまでしばらく待つ。待っている間に、道端で売っていた魚の唐揚げを朝食代わりに食べる。ハルゲイサまでの料金は行きと同じで6ドル。席が埋まって出発したタクシーはなぜか警察署に寄り道し、私は警察署の中に案内される。私に応対した平服の職員は友好的であり、別に不安はなかったが、なぜ警察署に立ち寄る必要があるのか不可解だった。警察署長とおぼしき人の部屋まで案内されたものの、挨拶しただけだった。推測するに、タクシーの運転手は、外国人がボディガードなしでソマリランド国内を移動するのに必要なletter of permissionを取得させるために警察署に案内したのではないかと思う。しかし私はハルゲイサですでにletterを手に入れていた。挨拶だけで終わったのもこのためかもしれない。あるいは何か登録するようなことがあったのかもしれない。

魚の唐揚げを売っていた女性(タクシーの窓から)

ハルゲイサへ戻り、今度は市の中心部にあるOriental Hotelにチェックインした。これは外国人旅行者の間ではおそらくもっともよく知られたホテルだろう。トイレ・シャワー、衛星テレビ付きのシングルルームが1泊15ドル。ちょっと高めだが、朝食が付く。

街に出ると、相変わらず道行く人が声をかけてくる。ある老人につかまって路上でちょっと会話。というか老人が一方的にしゃべった。サウジアラビアから来たというその老人は私にアラーの偉大さを説く。「お前はどうしてこの世に存在しているかわかるか。パパとママのおかげで存在しているのではない。神のおかげで存在しているのだ。」老人の演説につられて10数人のソマリランド人が集まってくる。

この老人とは別の場所で再度出会った。そのときには「私の祖母は日本のエンペラーと親戚だ」と言っていた。サウジアラビアから来たというのもたぶん妄想だろう。

「チャイナ」とか「チャイニーズ」と言われる場合も多い。「ニイハオ」も少なくない。最初は「中国人ではなく、日本人だ」と抗議していたが、どうでもよくなってこちらも「ニイハオ」と応じることもあった。「チャイナ」と呼びかけてきたある青年に「間違えるな」と抗議すると、「俺が日本に行ったとして、誰もソマリランド人として認識してくれないだろう。アフリカ人とひとくくりにされるに違いない。それと同じだ」と言い返された。そうかもしれないが、私を中国人とみなすのは明らかに間違いであるのに対し、彼をアフリカ人と呼ぶのは不精確ではあっても間違いでない。いずれにしても、街を歩いている普通の人たちとこうした会話を英語で交わせるのがソマリランドだ。

カフェでお茶を飲んでいてもすぐに誰かが話しかけてくる。彼らが聞きたがるのは、ソマリアに比べてソマリランドがいかに安全であるかだ。「ソマリアには行かないのか」と尋ねられ、「Somalia is too dangerous to travel」と答えると、周りがドッと笑う。そんななかでも、貧しいソマリランドでは学校に行けない子供も多いと嘆いていた青年の言葉が心に残っている。

ベルベラで1泊しかしなかったこともあり、翌31日に予定より早くソマリランドを離れることにした。乗り合いタクシーが集まっているところにはバスで行かなければならない。Oriental Hotelのオーナーがバスの停留所まで案内してくれた。

Oriental Hotelの朝食

エチオピアとの国境があるWajaleeまでの乗り合いタクシーの料金は6ドル。なぜか最初に乗り込んだタクシーから別のタクシーに移動させられた。こうした指示や料金の支払いはすべて同乗のおばさんたちがやってくれた。タクシーに座ってから外を見ると、2人の男が取っ組み合いのけんかを始めていた。どうも私のことでけんかしているらしい。あれやこれやでしばらく待ったが、かなり年をとった老人が運転するタクシーは道とはいいがたい砂漠のような土地を走り、無事国境までたどり着いた。
Wajaleeまで


ソマリランドからの出国、エチオピアへの入国は何の問題もなかった。この日は国境からミニバスで2時間ほどのジジガ(Jijiga)で1泊することにした。ジジガはエチオピアの中にあるが、住民の大半はソマリア人だ。言語がソマリア語で宗教がモスレムというのはソマリランドと同じだが、雰囲気はソマリランドとちょっと異なる。写真も自由に撮れた。

ジジガのマーケット

ジジガで1泊、ハラルで1泊、さらにディレ・ダワ(Dire Dawa)で1泊してアジスアベバへ戻り、しばらく滞在してから帰国の途についた。

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