7月20日。
今日はまず前田高地を見ることにしていた。1945年4月22日から5月7日にかけての激戦の現場だ。前田高地の陥落によって米軍はさらに一歩首里に近づいた。
前田高地は浦添城跡にある。前田高地とは浦添城跡のことであると言ってもいいかもしれない。那覇バスターミナルから浦添城跡へ行くルートをネットで調べると、浅野浦というバス停から徒歩で13分とあった(実際には浦添城跡にもっと近いバス停があるのだが、見逃していた)。
那覇バスターミナルから路線バスに乗っておよそ30分、浅野浦に着いた。例によって右往左往し、13分よりはるかに長い時間をかけ、小高い丘にある浦添城跡にたどり着いた。
前田高地は2017年のアメリカ映画「ハクソー・リッジ(Hacksaw Ridge)」の舞台になった。このため、外国人観光客なども訪れるスポットとなっているとのことだった。だが、土曜日の朝11時ごろの浦添城跡には私以外の観光客はいなかった。ときおり網を持つ2、3人の子供たちや親子連れに出会う。蝉を捕っているのだろう。
ところどころに城の石垣の跡が残っている。浦添の町を一望できる崖の上に「ハクソー・リッジ」の立て看板があり、日本語と英語で前田高地を説明している。米軍はこの急な崖を登って日本軍と戦った。
木々の中を入り、小さな階段を降りると、前田高地平和之碑が鎮座している。「北海道知事 堂垣内尚弘 書」とある。ここで戦った志村大隊には北海道出身者が多かったためだ。石壁には戦死者の氏名が刻まれている。
前田高地のランドマークともいえるのがにょきっと立つ為朝岩だが、このときはその存在を知らなかった。米軍からはニードルロックと呼ばれたこの岩、きっと目には入っていたのだろうけど、意識にはまったく入っていなかった。
城跡の近くに浦添ようどれがある。琉球王国の墓らしい。入口は閉まっており、立入禁止となっている。
那覇へ戻るために、丘を降り、バス停を探す。雨が降り出してきた。小雨だが、屋根のない停留場でバスを待つのはやっかいだ。やっと見つけたバス停。時刻板に書いてある時間になってもバスは来ない。10分待っても20分待っても来ない。雨は続く。
しかたなくタクシーで帰ることにした。乗車してしばらくすると、「お客さんは内地からですか」と運転手が声をかけてくる(「本土」ではなく「内地」だっと思うが、100%確かではない)。
「そうだ」と答え、戦跡巡りをしていること、前田高地を見た帰りであることを告げる。これをきっかけに運転手と沖縄戦についてしばし話す。
運転手は5、60代。南風原町の出身とのこと。歴史に興味があり、彼自身ツアーなどに参加して戦争の跡をたどっているという。話題は渡嘉敷島(とかしきじま)での赤松大尉、久米島での鹿山兵曹長の所業に及ぶ。鹿山が戦後みずからの行為を正当化して、のうのうと生きていた(徳島で農協の役員となったということだ)ことなども。沖縄で3人の米軍捕虜を殺害した日本軍兵士は戦犯として処刑されている。しかし、20人を超える鹿山の犠牲者は米国人ではないので、米国によって裁かれることはなく、日本からのお咎めも受けていない。不合理このうえない。
浦添からホテルブライオンまで、20分余りの道のりで、代金は1810円だった。2000円を支払ってタクシーを降り、コンビニで昼食を購入してからホテルに戻った。2時近くになっていた。
午後の目的地はシュガーローフ。5月12日から18日にかけてのシュガーローフの戦いが日本軍の首里撤退を決定的にした。シュガーローフとは米国側の呼称で、日本的には安里52高地だ。
たっぷり休息をとり、4時近くになってからホテルを出た。シュガーローフは那覇の新都心「おもろまち」にある。美栄橋駅からゆいレールに乗り、3駅先のおもろまち駅で降りる。
おもろまちは高いビルが建ち並ぶファッショナブルな街だ。大通りを少し行くと、交差点で参議院選挙のキャンペーンに遭遇した。そういえば明日は投票日だ。「最後のお願い」のためにある候補者の陣営が総結集している。運動員は多いが、足を止める有権者はそう多くない。
シュガーローフは駅から歩いて5分もかからない。すぐに見つかった。小さな丘の石段を上がる。シュガーローフの戦いを日本語と英語で説明する石盤と塔婆が2本。これ以外に何も見あたらない。1週間の間に11回も攻守が逆転した激戦の地にしては実にあっけない。
おもろまちからホテルまでゆいレールを利用せずに歩いて帰った。おもろまちから安里、安里から牧志に出て、国際通りに入る。ドンキホーテに立ち寄って土産物のお菓子を購入し、美栄橋を経由してホテルに至る。1時間以上はかかっただろう。
夕食はホテルの近くの弁当屋で調達した。豚肉ののせた弁当で490円。明日は午前中に海軍司令部の壕を訪れ、午後は首里城を再訪する予定だ。
今日はまず前田高地を見ることにしていた。1945年4月22日から5月7日にかけての激戦の現場だ。前田高地の陥落によって米軍はさらに一歩首里に近づいた。
前田高地は浦添城跡にある。前田高地とは浦添城跡のことであると言ってもいいかもしれない。那覇バスターミナルから浦添城跡へ行くルートをネットで調べると、浅野浦というバス停から徒歩で13分とあった(実際には浦添城跡にもっと近いバス停があるのだが、見逃していた)。
那覇バスターミナルから路線バスに乗っておよそ30分、浅野浦に着いた。例によって右往左往し、13分よりはるかに長い時間をかけ、小高い丘にある浦添城跡にたどり着いた。
前田高地は2017年のアメリカ映画「ハクソー・リッジ(Hacksaw Ridge)」の舞台になった。このため、外国人観光客なども訪れるスポットとなっているとのことだった。だが、土曜日の朝11時ごろの浦添城跡には私以外の観光客はいなかった。ときおり網を持つ2、3人の子供たちや親子連れに出会う。蝉を捕っているのだろう。
ところどころに城の石垣の跡が残っている。浦添の町を一望できる崖の上に「ハクソー・リッジ」の立て看板があり、日本語と英語で前田高地を説明している。米軍はこの急な崖を登って日本軍と戦った。
城壁の跡
ハクソー・リッジ
木々の中を入り、小さな階段を降りると、前田高地平和之碑が鎮座している。「北海道知事 堂垣内尚弘 書」とある。ここで戦った志村大隊には北海道出身者が多かったためだ。石壁には戦死者の氏名が刻まれている。
前田高地平和之碑
前田高地のランドマークともいえるのがにょきっと立つ為朝岩だが、このときはその存在を知らなかった。米軍からはニードルロックと呼ばれたこの岩、きっと目には入っていたのだろうけど、意識にはまったく入っていなかった。
城跡の近くに浦添ようどれがある。琉球王国の墓らしい。入口は閉まっており、立入禁止となっている。
浦添ようどれ
那覇へ戻るために、丘を降り、バス停を探す。雨が降り出してきた。小雨だが、屋根のない停留場でバスを待つのはやっかいだ。やっと見つけたバス停。時刻板に書いてある時間になってもバスは来ない。10分待っても20分待っても来ない。雨は続く。
しかたなくタクシーで帰ることにした。乗車してしばらくすると、「お客さんは内地からですか」と運転手が声をかけてくる(「本土」ではなく「内地」だっと思うが、100%確かではない)。
「そうだ」と答え、戦跡巡りをしていること、前田高地を見た帰りであることを告げる。これをきっかけに運転手と沖縄戦についてしばし話す。
運転手は5、60代。南風原町の出身とのこと。歴史に興味があり、彼自身ツアーなどに参加して戦争の跡をたどっているという。話題は渡嘉敷島(とかしきじま)での赤松大尉、久米島での鹿山兵曹長の所業に及ぶ。鹿山が戦後みずからの行為を正当化して、のうのうと生きていた(徳島で農協の役員となったということだ)ことなども。沖縄で3人の米軍捕虜を殺害した日本軍兵士は戦犯として処刑されている。しかし、20人を超える鹿山の犠牲者は米国人ではないので、米国によって裁かれることはなく、日本からのお咎めも受けていない。不合理このうえない。
浦添からホテルブライオンまで、20分余りの道のりで、代金は1810円だった。2000円を支払ってタクシーを降り、コンビニで昼食を購入してからホテルに戻った。2時近くになっていた。
午後の目的地はシュガーローフ。5月12日から18日にかけてのシュガーローフの戦いが日本軍の首里撤退を決定的にした。シュガーローフとは米国側の呼称で、日本的には安里52高地だ。
たっぷり休息をとり、4時近くになってからホテルを出た。シュガーローフは那覇の新都心「おもろまち」にある。美栄橋駅からゆいレールに乗り、3駅先のおもろまち駅で降りる。
おもろまちは高いビルが建ち並ぶファッショナブルな街だ。大通りを少し行くと、交差点で参議院選挙のキャンペーンに遭遇した。そういえば明日は投票日だ。「最後のお願い」のためにある候補者の陣営が総結集している。運動員は多いが、足を止める有権者はそう多くない。
選挙戦最終日
シュガーローフは駅から歩いて5分もかからない。すぐに見つかった。小さな丘の石段を上がる。シュガーローフの戦いを日本語と英語で説明する石盤と塔婆が2本。これ以外に何も見あたらない。1週間の間に11回も攻守が逆転した激戦の地にしては実にあっけない。
シュガーローフへの階段
シュガーローフの記念碑
おもろまちからホテルまでゆいレールを利用せずに歩いて帰った。おもろまちから安里、安里から牧志に出て、国際通りに入る。ドンキホーテに立ち寄って土産物のお菓子を購入し、美栄橋を経由してホテルに至る。1時間以上はかかっただろう。
夕食はホテルの近くの弁当屋で調達した。豚肉ののせた弁当で490円。明日は午前中に海軍司令部の壕を訪れ、午後は首里城を再訪する予定だ。
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