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2015年12月13日日曜日

東チベット2015 5月12ー15日(再び成都へ)

昨晩泊まった宿。外国人を宿泊させる許可を得ているはずもなく、泊まる際にパスポートの提示も求められなかった。デポジット(押金)もなし。したがってチェックアウトの手続きもなく(宿の女主人は別の建物に住んでいるようだった)、誰とも会わずに、ただ鍵を置いて宿から出た。バスターミナル近くの昨晩と同じ安食堂で朝食をとり、9時発のバスを待つ。

バスはほぼ定刻どおりに出発し、雪をかぶった壮大な山々の間をくねくねと曲がりながら成都に向かう。今日も道は悪いが景色はいい。途中、昼食のために休憩。麺にスープをかけただけの素朴な食事だが、意外においしい。

丹巴から成都へ

バスで東チベットを行く

成都に着いたのは夕方の6時ごろ。丹巴から9時間かかったわけだ。初日と同じ成都老栄国際青年旅舎に宿をとる。予約はしていなかった。夜遅く着くわけではなく、ドーミトリーならフルということもないだろうとふんでいたからだ。4ベッドのドーミトリーは1泊50元、8ベッドは40元。4ベッドのほうを選び、3泊することにした。ドーミトリーだが、12日と13日は私ひとりで、他の3つのベッドは空いていた。

老栄国際青年旅舎(英語名はHello Chengdu International Youth Hostel )はもともとシンガポール人男性と日本人女性のカップルが立ち上げたゲストハウスだ。オーナーはすでに変わっているが、現在も日本語をしゃべるスタッフがいて、日本人の宿泊客も多い。といっても日本人が大半を占めているわけではない。客のなかで一番多いのはなんといっても中国の若者たち。Lonely Planetで推薦されていることから、欧米人も少なくない。私が宿泊したときには日本人は7、8人いたようだった。彼らとは食事を一緒にする機会もあった。

12日の夜から帰国日(15日)の朝まで、成都でのんびりと過ごした。東チベットへの旅は終了しているので、特に何をしたいというわけでもない。暇つぶしにパンダ繁殖研究基地、錦里、人民公園などを訪れた。人民公園ではさまざまな集団が歌と踊りを披露していた。ちょっとした規模の公園なら中国のどこでも見られる光景だ。やっているのも見ているのも主として中高年で、若者にはあまり人気がない。以前ウルムチのドーミトリーで同室だった中国人の青年は「あんなもののどこがおもしろいのか」と言っていた。私はこうした素人芸のファンだから、それなりにおもしろかった。だが、成都のそれは、スケール、スキル、バラエティにおいてウルムチのものより劣っているように感じた。

パンダ繁殖研究基地

錦里

人民公園のパフォーマンス

最後の14日の夜も4ベッドのドーミトリーの中は最初は私ひとりだった。ところが夜も10時を過ぎ、消灯して寝ようとしていると、ドアをノックする音がする。ドアを開けると、中国の青年が入ってきた。この青年がなかなかおもしろかった。英語もしゃべれる。ベッドの端に座って小一時間話した。四川省の北川市から来た銀行員とのこと(北川は2008年の四川大地震の震源地に近い)。「中国銀行か、それともABC(中国農業銀行)か」という私の問いに、「どうしてそういう大きいところばかり挙げるのか。もっと小さい銀行だ」と言う。

中国はGreat Fire Wallを張り巡らせてネットをコントロールしている。ネットに接続してもGoogle、Facebook、Twitter、Youtubeなどにはアクセスできない。FC2もだめ。Yahoo、朝日新聞、読売新聞などにはなんとかアクセスできる。このファイアウォールはVPNを利用すれば簡単にかいくぐることができた。「できた」と過去形にしたのは、今年に入ってからVPNの利用が難しくなったからだ。

だが、北川市から来た青年のスマートフォンはこの規制を回避し、どこにでもアクセスできるようになっていた。青年によると「ちょっとしたテクニックが必要」とのことだが、どんなテクニックかは聞いていない。青年のスマートフォンを使って、Youtubeの私のチャンネルを紹介したり、「蒼井そら」なるAV女優のTwitterを見たりした。蒼井そらのツイートを翻訳してくれと頼まれたが、「お好み焼きは関西ではなく大阪のもの」といった、翻訳不可能な内容だった。宗教ではなく科学を信じるというこの青年、ファイルの保管やアルバム、メールなどにすべてGoogleのサービスを利用しているという。

私「それは危険だ。いつかGoogleにコントロールされてしまうぞ。」
青年「Googleにコントロールされるほうが、政府にコントロールされるよりましだ。」

翌日15日、仕事で成都に来ていた青年は私より早く部屋を出た。
私も朝のうちにチェックアウトして、ゲストハウスに手配してもらったタクシーで成都空港に向かう。11時30分発南京経由の関空行きの便を待つ間、関西へ観光旅行に出かける一家と知り合った。若い夫婦と3歳くらいの息子、奥さんのほうの母親の4人連れだ。夫婦はどちらも英語をしゃべれたが、どちらかというと奥さんのほうが上手なようだった。飛行機の出発が遅れたこともあり(中国ではよくあることだ)、この夫婦とはかなり長い間話した。「中国と日本の関係がよくないにもかかわらず、四川省の人たちは親切だった」という私に対し、「悪いのは軍隊で、一般の人々は悪くない」と言う奥さん。軍隊というのが中国の軍隊なのか日本の軍隊なのかよくわからなかったが、過去の日本の軍隊と解するのがもっとも自然だろう。

一家の行き先は京都、奈良、白浜とのこと(関空から京都に直行するらしい)。「白浜」は中国語では「シラハマ」ではなく「パイピン」と発音する。「キョウト」と「ナラ」は大丈夫だったが、「シラハマ」の発音がちょっとあやしかったので、しばらく発音を指導する。白浜にはパンダが飼われていることを彼らから聞いてはじめて知った。パンダの本場の成都からわざわざパンダを見に行くのもなんだかなあ(もちろん温泉が目的で、パンダは付録だろうが)。

遅れて出発した飛行機だが、関空には定刻どおりに着いた。入国審査の前で成都の一家と別れた。ちゃんと京都の宿までたどり着いたかな。

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