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2018年9月2日日曜日

イスラエル中東研修ツアー 十日目(講義、アラブの村)

8月10日。

研修最後の講義はDr.S. Handelmanによる"The Israel-Palestinian Conflict: Two Complementary Views of Peace-making"であり、9時30分にはじまった。

Dr.S. Handelmanは和平(Peace-making)に向けたTwo Compementary Models(相互補完的な2つのモデル)について語る。1つは「Political Elite(政治的エリート)」のモデルであり、いわば上からのプロセスだ。もう1つは「Public Assembly(大衆の集まり)」のモデルであり、草の根レベルのモデルと言えよう。 Handelman氏はこの草の根の活動に携わり、ユダヤ人とパレスチナ人の交流を促進している。

休憩時間に彼と少し話した。彼自身はイスラエル生まれだが、両親はルーマニアから来たとのこと。イスラエルの歴史学者Ilan Pappéに言及すると、「彼は非常にラディカルだ」と言っていた。これが賞賛なのか批判なのかはわからない。同じくBenny Morisについては「彼は2度も3度も立場を変えている」と言う。Benny MorisもNew historianに分類される学者だ。Pappéと同様1948年のイスラエル建国のプロセスが民族浄化(ethnic cleansing)であったことを認めるが、「米国であれオーストラリアであれどの国家もその成り立ちには胡散臭いものがつきまとう。1948年の時点で民族浄化は必要だった。ベン・グリオン政権の誤りは民族浄化を徹底しなかったことだ」というのが現在のMorisの立場らしい。

昼食後1時間は"Computerised Evaluation"に充てられた。コンピュータによるアンケート調査だ。研修に対する評価や意見を記入していく。私はノートパソコンを持ってきていなかったので、Galilee Instituteのものを借りたが、手持ちのタブレットでも十分可能な調査だった。

匿名とはいえ、この種のアンケートは苦手だ。ほとんどすべてを「満足した」と評価しておいた。

午後3時、最後の現地ツアーに出発する。目的地はJisr az Zarqaという地中海に面したアラブの村。1時間ほどで到着した村ではアラブ人のガイドが待っていた。ガイドのヘブライ語の説明をBorisが通訳する。

アラブの村へ

アラブの村に入っていくのを期待していたが、それはかなわず、村の周辺を歩き、アラブの村とユダヤの村を隔てる土塁の上を歩くだけだった。今日はイスラムの休息日である金曜であり、アラブの村からは結婚式を祝う祝砲が聞こえる。土塁もこうした祝砲の音を遮るためにユダヤ側が構築したものらしい(実際どれほどの防音効果があるかは疑わしい)。

アラブの村は建物が密集しているが、ユダヤの村はゆったりとしている。生活のレベルにも大きな差があるという。

アラブの村(その1)


アラブの村(その2)

アラブの村(その3)

地中海に出ると、アラブ人の家族たちが海水浴などを楽しんでた。女性たちはヒジャブや服を着たまま水につかっていた。

服を着たまま海へ

最後に(Borisの通訳を介して)ガイドに「日本人のツーリストをガイドするのはこれがはじめてか」と尋ねたところ、「以前に一度日本人を案内したことがあるが、2人だけの客だった」とのことだった。

8時過ぎにホテルに戻って夕食。隣のテーブルに10人余りのイタリア人の中高年の団体がいた。トリノの教会教区の団体だという。ほぼ全員がご婦人方の中、1人だけ男性がいる。なんと日本人らしい。「親に5年と言ってイタリアに来たが、もう(在イタリアが)32年になります」とのこと。イタリア人女性と結婚して、トリノに住んでいるもよう。イタリアのポピュリズムや前首相のRenziのことなどを話す。「Renziはお坊ちゃんで世間知らずだった。彼のせいでポピュリズムが幅をきかすようになった」というのがこの日本人男性のRenzi評。「Buona notte」(おやすみ)と言って別れる。

これで研修ツアーのすべてが無事終了した。明日は帰国の途につく。

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