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2023年8月11日金曜日

モンゴル2023 シティ・ツアー、帰国

 7月21日

今日はオンラインで申し込んであったシティ・ツアーの日。ガイドが8時半にホテルに迎えに来るということだった。代金の150ドルはすでに支払っていたが、はたしてほんとうにガイドが現れるかどうか、一抹の不安があった。

不安は杞憂だった。8時半に1階に降りると、ガイドが待っていた。Land Hotelの朝食は9時(実質的には9時半)からだから、今日はあきらめざるをえない。といっても残念な気を起こさせるほどの朝食ではない。

ガイドは50歳代くらいの女性。彼女が運転する車でまず向かったのは、ガンダン僧院。大きなチベット仏教の僧院だ。チベット仏教に特有のマニ車がある。25mの巨大な観音像を筆頭に、さまざまな仏像も見られる。いくつかの部屋では信徒たちが僧侶に唱和して読経していた。

ガンダン僧院


25mの観音像

続いてモンゴル民族博物館へ向かう。ここはすでに訪れた場所だ。だが、博物館の男性職員の英語ガイド付きなので、改めて入館する意味はあった。入館料やガイド料はすべてツアー代金に含まれていた。博物館のガイドと、元寇やジンギスハーンに対する評価について話した。ガイドによれば、元寇が失敗したのは底が平らな中国の船を使っていたからだとのこと。「そもそも侵攻の時期として9月を選んだのが間違いだったのでは」と言うと、笑っていた。ジンギスハーンは侵略された他の国からすれば大量虐殺の張本人だ。そのジンギスハーンがモンゴルで英雄とみなされているのはどうしてかという質問に対しては、「いくつもに分かれていたモンゴルをひとつの国として統一したから」との返答があった。

スフバートル広場をしばらく見物してから、ボグドカーン宮殿へ行く。モンゴルの最後の王であったボクドカーンの宮殿だ。ここでも宮殿専属の英語ガイドが付く予定らしかったが、いつまで待ってもやってこないので、専属ガイドなしで見て回った。したがって何を見たかほとんど記憶に残っていない。覚えているのは中庭で行われていた結婚式だけだ。

結婚式

1時近くになり、昼食をとることにした。向かった先はザイサン・トルゴイ。この麓にある小さな食堂に入る。出てきたのはホーショールとグルヤシ。どちらも今までに食べた料理だ。値段もあまり高くなさそうだ。

「このあとコンサートがはじまる5時までいったんホテルに帰って休んだらどうか」とガイドは提案してきた。これは彼女の手抜きだ。おそらくツアー・コースにはブラック・マーケットも入っているはずだ。さらには、ザイサン・トルゴイの丘に登ることもコースに入ってるのだろうが、「登ろうか」という提案すらなかった。ただ、ブラック・マーケットに行くこともザイサン・トルゴイに登ることもすでに経験済みの私としては、ホテルで体を休めるほうがありがたかった。

ツアー・ガイドはEnglish Speakingのはずだが、彼女の英語は少しあやしかった。よく理解できない場面も少なからずあった。以前には中国まで出かけて商品を仕入れ、ロシアで販売する仕事をしていたらしい。モスクワやサンクトペテルブルクまで足をのばしたらしいが、よく行ったのはイルクーツクだ。イルクーツクではモンゴル語も話されているという。人種的にもモンゴル人に近いのだろう。「モンゴル人のほうがイルクーツクの人たちより顔が大きい」とはガイドの弁。

ツアー・ガイドと一緒に昼食


3時前にホテルに戻り、4時過ぎまで休む。迎えに来たガイドの車でスフバートル広場に面した国立オペラ劇場に向かう。

モンゴル伝統音楽の公演は5時にはじまり、6時半に終わった。2、300人の観客はほぼ全員が外国人だった。ここでも韓国人が多かったが、日本人のグループもいた。公演の内容はほぼ予期したとおりだった。モンゴル独特の唱法であるThroat singingを聴くことができて満足。

公演舞台

Throat singing

公演終了後、待っていたガイドの車でホテルへ戻る。車中、ガイドは明日の空港までの運転を買って出てきた。10000MNT(4000円)とのこと。高い。UBCabを使えば、7000MNTくらいだろう。しかしUBCabではドライバーとうまくマッチングできないケースもありうる。あえて値切らず、彼女の提案を受け入れた。

夕食は例によってホテルの近くの韓国系コンビニで購入した。キンパはさすがにあきているので、肉まんにした。何種類かのまんじゅうがある。レジの店員に英語で違いを尋ねた。若くてかわいい女店員は1つのまんじゅうを指して「カウ」と言う。もう1つは「キムチ」らしい。本来ならbeefと言うべきところを「カウ(cow)」と表現したその言い方がかわいかった。

7月22日

約束どおりガイドは9時に迎えに来た。ホテルの朝食はこの日もとることができない。

空港には10時過ぎに着いた。関空行きのMiat(モンゴル航空)便は13時発。少し残っていたモンゴル通貨でサンドイッチの朝食をとってから、セキュリティ・チェックとイミグレを問題なく通過し、18時に無事関空に到着した。

最後に、今回のモンゴル旅行の感想をいくつかランダムに書いておこう。

(1)10日間という、それほど短い時間ではないにもかかわらず、モンゴルの草原を馬で駆けることもなく、ゲルに泊まって遊牧民の生活を垣間見ることもなかった。ウランバートルを離れたのもハラホリンに行ったときだけ。後悔はしていない。最初から、無理はせずに、のんびり滞在するつもりだったからだ。馬にもラクダにも乗らず、ゲルの中で夜を過ごすことがなくても、十分にモンゴルを楽しめた。旅には年齢に応じたスタイルがある。ガイドブックのとおりに行動する必要はない。

(2)韓国の影響の大きさを感じた。コンビニはほぼすべてが韓国系。Korean restaurantもいたるところにある。外国人観光客も韓国人がもっとも多い。相対的にあまり目立ったなかったのが隣国の中国だ。もちろん中国人観光客にも数多く出会ったが、予想していたほどではなかった。ハラホリンからの帰りのバスで一緒になったモンゴル人青年は「モンゴル人は中国をあまり好きではないから」と説明していたが、真偽のほどはわからない。

(3)7、8月はモンゴル旅行に最適だ。少し暑いが、30°を超えることはなく、なによりも湿気がない。冷房の必要もない。「夏はハエが多い」とも聞いていたが、家畜の周りで少し気になったくらいで、街中ではほとんど見られなかった。

(4)ウランバートルの交通渋滞は噂どおりだった。タクシーに乗っても、渋滞のために予期したより時間がかかるケースが少なくない。公共の交通機関をもっと充実させれば、たとえば地下鉄を開通させれば、渋滞も多少は緩和されるのだろうが、それには多額のお金が必要になる。



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