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2016年10月14日金曜日

ブルガリア・ルーマニア2016 一日目(ソフィア)

9月25日。

関空からイスタンブールを経由し、およそ18時間かけてソフィア空港に着いたのは、25日の朝9時過ぎだった。

こぢんまりしたソフィア空港を出て市内行きのバスに乗ったときにはまだ10時になっていなかった。ソフィアには2泊の予定で宿はbooking.comを通じてすでに予約してある。

バスに乗ったはよいが、どうやって切符を買い、どこで降りればいいかわからない。

このときバスに乗り合わせていたのが、ブルガリア人らしき中年の男性と東洋人の若者の2人連れ。切符を運転手から買って車内の刻印機で刻印すること、市の中心部に行くにはソフィア大学の近くで下車すればよいことを教えてくれた。

ブルガリア人は物理化学を専攻するソフィア大学の助教授で、東洋人らしき若者はカザフスタンのアルマトイの大学関係者とのこと。仕事関係のゲストとしてブルガリアを訪れたカザフスタン人をブルガリア人が空港まで出迎えにきたところだった。ブルガリア人の助教授は2003年と昨年に学会に参加するため訪日しており、バスの中で話がはずんだ。

あれこれ話しているうち、ブルガリア人(名前はVesselin)がソフィアを案内してくれることになった。カザフスタンの青年にとってもブルガリアははじめてということだ。予定を変更して3人そろってソフィア大学の前でバスを下車した。まだ朝の10時だから、宿に急ぐ必要はない。ここで知り合ったのもなにかの縁、好意に甘えることにしよう。

バスから降りると、さわやかな外気が気持ちいい。まだまだ暑い日本の9月とは異なり、涼しさを感じる。おそらくソフィアでも年間ベストの気候だろう。旧共産党本部、議会、大統領府などの官庁街を散策し、考古学博物館も見学する。Vesselinは物理化学を専門とするが、なかなかの博識で歴史にも詳しい。日曜日ということもあり、人通りは多くない。街の中心にはキリスト教正教の教会、ユダヤ教のシナゴーグ、イスラムのモスクがそれぞれ近い距離に位置している。これはブルガリアの宗教的寛容の表れだとVesselinは言う。

12時を過ぎたので昼食をとることにした。「ブルガリアの伝統料理を試したい」という私とカザフスタン青年のリクエストに応え、Vesselinが案内してくれるが、日曜日のため閉まっているところが多い。ようやく3軒目くらいで小さなレストランに落ち着いた。はじめて口にするブルガリア料理はまずまずの味。私は鯖料理を注文したが、サイドディッシュとして頼んだ茄子の蒸し焼きがおいしかった。支払いは割り勘にした。

カザフスタン人、ブルガリア人と一緒に昼食

食事のあとカフェに行った。入口はそう大きくないが、中に入ると奥のほうに大きな空間があり、かなりのテーブルがあった。ウエイトレスは赤い派手な制服を着ている。テーブルのソファも真っ赤。しゃれた感じを出そうとしているのだろうが、なんとかく垢抜けておらず、時代遅れの感じがする。以前ロンドンで遭遇したウラジオストック出身の若いロシア人女性を思い出した。絵に描いたような美人で、精一杯おしゃれをしている。しかしそのおしゃれがなんとなく田舎じみており、時代に取り残された感じがする。これがまたかわいい。最先端を行く奇抜なモードより、こちらのほうが私の好みだ。

カフェでは3人ともカプチーノとチョコレートケーキを注文した。ケーキは分量たっぷりのうえ、アイスクリームまで付いていた。すこし甘すぎるようだ。このカフェでは食事もでき、メニューにはスシもあった。

カフェを出てから、歩行者天国などを見物。日曜日らしく、結婚式の流れとおぼしき人々も2、3組見られた。このころになるとソフィアの気温も上がり、少し汗がにじむほどになっていた。

結婚式の流れ

私が予約していたHostel Mostel Sofiaは市の中心からそう遠くない。Vesselinがスマホのナビを利用して門口まで送ってくれた。ごく小さな看板のホステルなので、ナビなしでひとりで探したら手間取っていたかもしれない。

ホステルにチェックインしたときにはすでに4時近くになっていた。つまり彼らと一緒に6時間近くを過ごしたことになる。ブルガリアに到着してほどなく、宿にたどり着く前にこうした出会いがあろうとは予想だにしていなかった。前日のフライトであまり寝ておらず、小さいとはいえバックパックを背負っての街歩きなのでさすがに疲れたが、疲れを補って余りある体験だった。惜しむらくは、疲れと寝不足のために、せっかくのVesselinの説明があまり頭に入らず、記憶に残っていないことだ。

カザフスタン青年(名前はOlzat)との会話も興味深かった。私が「ウズベキスタンではISのジハドに加わる若者が少なからずいる」と言うと、カザフスタンでも同じようなことが発生しているとのことだった。彼自身、髭を生やしているため(といっともごく薄い髭だが)か、カザフ出国のときにIS参加を疑われたことがあるとか。Olzatは中国人のようにも見えるが、中国人とは少し異なる。日本人にしても何か違和感がある。世界のどこかで東アジア人風の旅行者を見かければ、中国人、日本人、韓国人のいずれかと考えるのが普通で、カザフスタンまではなかなか思いつかない。

VesselinとOlzatはロシア語ではなく英語で話していた。これは私に遠慮してではない。バスの中で私に話しかける前から英語で話していた。私の経験によれば、カザフやキルギスでは子供から老人までほぼ誰でもロシア語を話す。だが、ブルガリア語とロシア語が相互に理解できるほどに近い(たとえばスペイン語とイタリア語のように)というのは私の誤解だった。ブルガリア語はロシア語よりもセルビア語に近く、マケドニア語とはほぼidenticalとのことだった。Vesselinはロシア語もある程度は話せるみたいだったが、英語のほうが楽だったのだろう。

Hostel Mostel Sofiaはこれまで泊まったホステルの中でもベストの部類だった。まず値段。トイレ・シャワー共用のシングルルームに2泊して34ユーロ、つまり1泊17ユーロ。しかもこれは朝食と夕食を含めた値段だ。夕食は豪華とは言いがたいが、野菜が食べ放題なので、腹は十分に満たせる。しかも大きめのコップ一杯のビールが付いている。ビール付きの夕食を提供する宿ははじめてだ。朝食も充実しており、スクラブルエッグやパンケーキ、パン、野菜が食べ放題。コーヒーと紅茶、ハーブ茶はいつでも飲める。

さらにうれしいのは、昼食や夕食を広いコモンルームで全員一緒にとるため、世界各国から来たいろいろな旅行者と知り合う機会が生まれること。私は夕食時に長期旅行中の大阪の大学生と知り合った。

夕食後、大学生と一緒に、昼間通った歩行者天国を再度訪れた。数多く並んでいるカフェは客で埋まり、人々が思い思いに飲食を楽しみ、談笑している。種々の問題を抱えているブルガリアではあるが、この場面を見る限り、それなりに豊かで平穏だ。EUのメンバーとなったのもうなずける。

はじめてのブルガリア。幸先のよいスタートとなった。

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