よろしければクリックしてください。
にほんブログ村 旅行ブログ 海外旅行へ
にほんブログ村

2016年10月31日月曜日

ブルガリア・ルーマニア2016 六日目その2(ロマ集落)

9月30日(続き)。

数匹の豚が鳴いている中、集落に入る。マケドニアのSutkaほどではないが、かなり大きい村で、数百人は住んでいそうだ。私たちを見つけた子供や大人が集まってくる。

ロマ(ジプシー)集落に入る

ダンスを見せてくれるという家に向かうが、なんだか様子がおかしい。なんと3日前に家人が亡くなったばかりで、ダンスは無理だとのこと。家から出てきた数人は黒い服を着ている。喪服だろう。これではどうしようもない。運が悪かったとしてあきらめるしかない。

代わりに集落を散策することにした。土地になじみのある2人の案内人が付き添っていることもあり、写真や動画はかなり自由に撮れる。ブカレスト同様、ここでも片言のドイツ語をしゃべる男が近づいてきた。ドイツに住んでいたというので、ドイツ語で「ドイツのどこにいたのか」と尋ねると、「リンツ」との答え。リンツはドイツではなく、オーストリアだ。

ロマ集落を散策

用意していたお菓子とタバコを案内人のハンガリー系ルーマニア人が配る。お菓子やタバコに向かって伸びる数多くの手。「マネー」を求める声も2、3回聞いた。

各家には水道の設備もないのだろう。共同の洗濯場があり、数人の女性たちや子供が集まっている。そのそばには3頭ほどの馬もいる。下半身が裸の男の子。道路はもちろん舗装されていない。それでもS氏によれば「以前に比べればここもずいぶん発展した」とのことだ。

共同洗濯場

2、3人の男の子が小さな山羊に鉄か石でできた重い荷物を引かせている。仕事でやっているのではない。山羊に過酷な労働を強いて楽しんでいるのだ。そして山羊を鞭でたたく。何回も。軽くではなく、力一杯たたく。何かが狂っている、どこか間違っている。

子供たちと山羊
 犬にしろ猫にしろ山羊にしろ、危害を加えそうにない、自分より小さい動物を前にしたら、保護しよう、可愛がろうとするのが通常の人間の反応であり、本能ではないだろうか。もちろん私たちは食べるために牛を殺し、豚を殺し、鶏を殺す。これはしかし「食べる」という物質的目的のためだ。anthropocentricではあるが、これはそれなりに合理的な行為だ。だが、目的もなく山羊に荷物を運ばせ、鞭でたたいても、子供たちの側に何からの利益がもたらされるわけではない。ただたんに楽しむために動物を虐待する。これはちょっとショッキングな光景だった。

といっても、子供のころ、無目的に(楽しむという目的さえなく)蟻やその他の小さな昆虫を殺したことがなかっただろうか。蟻なら殺してもよいが、山羊をたたいていてはならない根拠を見つけるのは難しい。蟻と山羊に論理的な差を設けるのは困難だ。前者より後者のほうが高い知能をもっているかもしれないが、知能の差で虐待を正当化することはできないだろう。

30分余りでロマの集落をあとにした。S氏は「ウェルカムのムードが突然変わって、石を投げられたり、ナイフが飛び出したりする事態が発生しないとも限らない」と言う。そうした兆しはまったく見られなかったが、私よりずっとよくルーマニアを知り、ロマを知っているS氏の言葉だから、おそらくそういった可能性もあるのだろう。

男たち

子供たち1

子供たち2


今回のロマ集落訪問では写真や動画を存分に撮り、その代償であるかのように菓子やタバコを配った。まさに好奇心を満たそうとする観光客の振る舞いだ。私は所詮観光客だから仕方ないのかもしれないが、何か釈然としないものが残った。

S氏にはブラショフの鉄道駅にまで送ってもらった。明日はシギショアラに行く予定で、そのための切符を買っておこうと思ったからだ。8時52分ブラショフ発11時25分シギショアラ着の切符を購入した。代金は40レウ(1200円ほど)。

バスで市の中心まで戻り、しばらく街を散策したあと、宿のそばのあまり高くなさそうなレストランで夕食とした。鶏肉の串刺しとポテトフライ、それにビール。まずまずの味だったが、前回のルーマニア訪問のときのようなほんとうにおいしいと思う料理にはまだありついていない。

レストランで夕食

ブラショフといえば、ドラキュラの居城のモデルとなったブラン城が有名であり、観光の目玉でもあるが、市から30Kmほど離れていることもあり、今回は行かなかった。ブラン城よりもロマ集落を優先したわけだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿