12月28日。
ジェッダ空港でクアラルンプール行きのフライトを待つうちに日は替わり28日になる。残ったリアルでケーキとアイスクリームを口にする。ちょっと食べ過ぎた。
往路はメッカ巡礼一色だったマレーシア航空便だが、帰路の乗客はもっとバラエティに富んでいた。たとえばチェックインの列に並んでいた若者2人組はタイ人で、サウジアラビアに留学中とのことだった。
搭乗時間になった。機内は空席が目立つ。おそらく半分も埋まっていなかっただろう。
私の列には空席を1つおいてヘッドスカーフを着用した若い女性が座っていた。マレーシア人のモスレムだ。「日本人か」と訊かれ、Yesと答えたことから会話が始まった。
彼女はサウジアラビアで看護師として働く姉(ひょっとすれば妹)を訪ね、1か月滞在した帰りだと言う。私が行かなかった(行けなかった)メッカとメディナの写真や動画を見せて、いろいろと説明してくれた。ジェッダでは和食レストランSakuraにも行き、2人で500リヤル(15000円)支払ったとか。
クアラルンプールで6時間の乗り継ぎ時間を経て29日の早朝に関空着。はじめてのサウジアラビア旅行を終えた。
まとめ。
サウジアラビアはニュースではよく耳にする国だが、こと観光に関する限りまったく未知の国だった。私にとってだけでなく、ほとんどの人にとって事情は同じだろう。
そんなサウジだが、今回の旅行で受けた印象は総じてポジティブだった。この好印象には現地の人たちが示してくれたhospitality(好きな言葉ではないが「おもてなし」とでも訳しておこうか)が大きく与っている。特に5日目にアブハを案内してくれたF15戦闘機パイロットに感謝したい。
今回の旅行で気付いたことをランダムに挙げておこう。
まずところどころで貧しさが目に付いたこと。ジェッダやアブハの裏通り、あるいは女性や子供の物乞いは、「リッチな産油国」からは想像していなかった風景だ。もちろん、ドバイやドーハと同様に、高層ビルもあるし、巨大なショッピングモールもある。だがそれだけがサウジではない。サウジはもっとさまざまな顔を持っている。
次にサウジが「車社会」であること。これはある程度予想していたことではあるが、現地であらためて確認させられた。信号や横断歩道、陸橋(タイフで1つだけ見かけた)が少なく、歩行者が道路を横断するのは容易でない。
そのうえ、公共交通が未発達だから、どこに行くにも車が必要になる。レンタカーを利用するという手もあるが、高スピードの車がビュンビュン飛び交うサウジの道路事情を考えれば、あまりお勧めはできない。日本国内ですらなるべく運転は控えようとしている私のような人間にとってはなおさらだ。
その結果、移動はもっぱらタクシーやUberに頼ることになる。10分くらい走って500円ほど、30分くらい走っても1500円程度だから、日本に比べればはるかに安上がりだが、それでも回数がかさむと結構な金額になる。
サウジの政治や宗教に関し、人々がどう感じ、何を考えているについては残念ながらヒントすら得られなかった。これはもっぱら、私のほうが、突っ込んだ質問をするのを遠慮したことによる。
過去2年ほどの間に実施された一連の開放政策(女性の自動車運転解禁、外国観光客の受け入れ、シネマの解禁等)が広く支持されていることは容易に見てとれたが、こうした「改革」の原動力となった皇太子のMohammad bin Salman(MBS)がどのように愛され、あるいはどのように恐れられているのかはうかがい知れなかった。
サウジの女性と話す機会がなかったことも残念だ。話すきっかけらしきものが皆無だったわけではないが、やはりここでも遠慮してしまった。
サウジ女性のほぼ全員がアバヤ(足元まで覆う黒いドレス)を着用していた。ニカブ(目だけを出す覆面風のベール)の着用率は場所によって異なる。ジェッダの旧市街などでは80%くらいがニカブで顔を覆っていたが、ショッピングモールになると50%くらいだった。ニカブを着用していない女性のなかには、UAEやエジプトから来た外国人も混じっていたかもしれない。
未知の国サウジアラビア。今回の旅行でその一端を垣間見ることができた。しかし謎はいっそう深まり、今までよりもっとわかりにくくなったと言えなくもない。幸いビザは2020年10月30日まで有効だ。できればもう一度、今度はリヤドやダンマンあたりを訪れたい。
最後に今回の旅行に要したコストを報告しておこう。
関空からジェッダまでの往復航空運賃が10万8千円。サウジ現地で400ユーロと350ドルを両替し、最終日にリアルを再両替して110ドル返ってきたから、支出額は400ユーロと240ドル。日本円にすれば約75000円になる。さらにクレジットカードでの支払いが、Ramad Hotelの2泊分550リヤル(16000円ほど)、アブハからジェッタへの片道航空券217リヤル(6500円ほど)、Uberの運賃が400リアル(12000円)ほどで、合計34500円程度。
つまり総合計はおよそ218000円だ。10泊の旅としては妥当なところだろう。1泊6~8000円程度の中級ホテルを選んだため、宿泊費がかさんだ。予約サイトに登録されていない安宿に泊まれば1泊100リアル(3000円)くらいだが、今回はあえて中級ホテルを選んだ。快適さもさることながら、英語が通じないことをおそれたためだ。泊まるだけなら英語が通じなくてもなんとかなるが、観光情報を得るうえで最低限の英語は欠かせない。
ジェッダ空港でクアラルンプール行きのフライトを待つうちに日は替わり28日になる。残ったリアルでケーキとアイスクリームを口にする。ちょっと食べ過ぎた。
往路はメッカ巡礼一色だったマレーシア航空便だが、帰路の乗客はもっとバラエティに富んでいた。たとえばチェックインの列に並んでいた若者2人組はタイ人で、サウジアラビアに留学中とのことだった。
ジェッダ空港(その1)
ジェッダ空港(その2)
搭乗時間になった。機内は空席が目立つ。おそらく半分も埋まっていなかっただろう。
私の列には空席を1つおいてヘッドスカーフを着用した若い女性が座っていた。マレーシア人のモスレムだ。「日本人か」と訊かれ、Yesと答えたことから会話が始まった。
彼女はサウジアラビアで看護師として働く姉(ひょっとすれば妹)を訪ね、1か月滞在した帰りだと言う。私が行かなかった(行けなかった)メッカとメディナの写真や動画を見せて、いろいろと説明してくれた。ジェッダでは和食レストランSakuraにも行き、2人で500リヤル(15000円)支払ったとか。
クアラルンプールで6時間の乗り継ぎ時間を経て29日の早朝に関空着。はじめてのサウジアラビア旅行を終えた。
まとめ。
サウジアラビアはニュースではよく耳にする国だが、こと観光に関する限りまったく未知の国だった。私にとってだけでなく、ほとんどの人にとって事情は同じだろう。
そんなサウジだが、今回の旅行で受けた印象は総じてポジティブだった。この好印象には現地の人たちが示してくれたhospitality(好きな言葉ではないが「おもてなし」とでも訳しておこうか)が大きく与っている。特に5日目にアブハを案内してくれたF15戦闘機パイロットに感謝したい。
今回の旅行で気付いたことをランダムに挙げておこう。
まずところどころで貧しさが目に付いたこと。ジェッダやアブハの裏通り、あるいは女性や子供の物乞いは、「リッチな産油国」からは想像していなかった風景だ。もちろん、ドバイやドーハと同様に、高層ビルもあるし、巨大なショッピングモールもある。だがそれだけがサウジではない。サウジはもっとさまざまな顔を持っている。
次にサウジが「車社会」であること。これはある程度予想していたことではあるが、現地であらためて確認させられた。信号や横断歩道、陸橋(タイフで1つだけ見かけた)が少なく、歩行者が道路を横断するのは容易でない。
そのうえ、公共交通が未発達だから、どこに行くにも車が必要になる。レンタカーを利用するという手もあるが、高スピードの車がビュンビュン飛び交うサウジの道路事情を考えれば、あまりお勧めはできない。日本国内ですらなるべく運転は控えようとしている私のような人間にとってはなおさらだ。
その結果、移動はもっぱらタクシーやUberに頼ることになる。10分くらい走って500円ほど、30分くらい走っても1500円程度だから、日本に比べればはるかに安上がりだが、それでも回数がかさむと結構な金額になる。
サウジの政治や宗教に関し、人々がどう感じ、何を考えているについては残念ながらヒントすら得られなかった。これはもっぱら、私のほうが、突っ込んだ質問をするのを遠慮したことによる。
過去2年ほどの間に実施された一連の開放政策(女性の自動車運転解禁、外国観光客の受け入れ、シネマの解禁等)が広く支持されていることは容易に見てとれたが、こうした「改革」の原動力となった皇太子のMohammad bin Salman(MBS)がどのように愛され、あるいはどのように恐れられているのかはうかがい知れなかった。
サウジの女性と話す機会がなかったことも残念だ。話すきっかけらしきものが皆無だったわけではないが、やはりここでも遠慮してしまった。
サウジ女性のほぼ全員がアバヤ(足元まで覆う黒いドレス)を着用していた。ニカブ(目だけを出す覆面風のベール)の着用率は場所によって異なる。ジェッダの旧市街などでは80%くらいがニカブで顔を覆っていたが、ショッピングモールになると50%くらいだった。ニカブを着用していない女性のなかには、UAEやエジプトから来た外国人も混じっていたかもしれない。
Red Sea Mallのフードコート
未知の国サウジアラビア。今回の旅行でその一端を垣間見ることができた。しかし謎はいっそう深まり、今までよりもっとわかりにくくなったと言えなくもない。幸いビザは2020年10月30日まで有効だ。できればもう一度、今度はリヤドやダンマンあたりを訪れたい。
最後に今回の旅行に要したコストを報告しておこう。
関空からジェッダまでの往復航空運賃が10万8千円。サウジ現地で400ユーロと350ドルを両替し、最終日にリアルを再両替して110ドル返ってきたから、支出額は400ユーロと240ドル。日本円にすれば約75000円になる。さらにクレジットカードでの支払いが、Ramad Hotelの2泊分550リヤル(16000円ほど)、アブハからジェッタへの片道航空券217リヤル(6500円ほど)、Uberの運賃が400リアル(12000円)ほどで、合計34500円程度。
つまり総合計はおよそ218000円だ。10泊の旅としては妥当なところだろう。1泊6~8000円程度の中級ホテルを選んだため、宿泊費がかさんだ。予約サイトに登録されていない安宿に泊まれば1泊100リアル(3000円)くらいだが、今回はあえて中級ホテルを選んだ。快適さもさることながら、英語が通じないことをおそれたためだ。泊まるだけなら英語が通じなくてもなんとかなるが、観光情報を得るうえで最低限の英語は欠かせない。
0 件のコメント:
コメントを投稿