7月5日
アゼルバイジャン行きを思い立ったのは、アルメニアやモンゴルの場合と同様、「まだ訪れていない国だから」という、いわば消極的な理由からだった。正直なところ、石油と天然ガスで潤うアゼルバイジャン、「ミニ・ドバイ」とも称されるその首都バクーに対する興味はそれほど強くなかった。だが、南コーカサスでまだ足を踏み入れていないただひとつの国をこのまま残しておきたくはない。加えて、エミレーツ航空の関空・バクー往復便が15万円ちょっとと比較的安かったことが背中を押した。
かくて7月4日23時35分に関空を発ち、中継地のドバイで9時間待ち(3時間待ちの便もあったのだが、値段が4万円アップする)、翌日5日の午後4時半にドバイ空港に着いた。入国に必要なアライバル・ビザは無料で、マシンで取得できた(実際には女性係官がすべてやってくれたのでマシンに触る必要もなかった)。入国審査では「なぜアルメニアを訪れたのか」と聞かれた。これは私のパスポートにアルメニアのスタンプが押されていたためだ。「Just for tourism」と答えたら、それ以上聞かれることはなかった。
いつもながら、入国してすぐにやるべきことは多い。まずは両替。円安になる前から蓄えていたいくばくかの外貨のうち、110ユーロをアゼルバイジャンの通貨(マナト)に交換する。英国のボンドも両替したかったが、「紙幣が古い」という理由で拒否された(後日、市内では割引レートながら古いポンド紙幣の両替は可能だった)。
続いてSIMカード。15日間15GBのカードを30マナト(2800円ほど)で購入。後に得た情報では空港でSIMカードを購入するのは得策ではないとのこと。市内のほうが安く入手できるらしい。
最後に地下鉄やバスに使用する交通カード(バクー・カード)を購入する必要がある。カードは空港を出たところにあるマシンから入手できる。そばにいた男性の助けをかりながらなんとかカードを手に入れる。カード代は2マナト(200円弱)。10マナト札をマシンに挿入したため、8マナトがチャージされる形になった(マシンはおつりを出してくれない)。
ホテルはBooking.comを通じて予約済みだった。朝食付きで1泊5000円ほどのMadinah Hotelだ。
空港を出たところにAirport Expressというバスが目に入る。このバスで市内まで出て、ホテルに向かうことにする。買ったばかりのバクー・カードでバスに乗車し、終点の28 Mayという地下鉄駅まで行く。グーグル・マップを見てホテルまでの経路を調べる。ここでマップに表示された地下鉄とバスのアイコンを勘違いし、てっきり地下鉄で行くものと誤解した。地下鉄のホームに降り立つが、ホテルに至近の駅が表示されていない。グーグル・マップで指示されているのはバスの停留所だから当然だ。
周りの人にグーグル・マップを見せて聞き回り、やっと私の乗るべきなのが125という路線のバスであることが判明した。
バクーの人たちは優しかった。私の要領を得ない英語での質問に親切に対応してくれる。最終的に、英語を話す初老の男性が(彼自身も通行人に尋ねながら)私を125のバスの停留所まで連れて行ってくれた。停留所には125の番号は表示されておらず、私一人ならとうていたどり着けなかっただろう。
なんとかホテルの至近の停留所で降車できた。幸い、そこから100メートルくらい離れたところにあるホテルはすぐに見つかった。チェックインしたときの時刻はすでに9時を過ぎていた。ここにはとりあえず3泊することになる。ホテルの隣にあるスーパーで菓子パン、イワシの缶詰(これを開けるのに苦労した)、フルーツジュースなどを購入して夕食代わりとし、あたふたとしたバクー初日は終わった。
Madinah Hotel(翌日撮影)
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