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2015年11月3日火曜日

北朝鮮鉄道の旅2015 九日目(10月10日)

10月10日は朝鮮労働党の創設記念日で、今年は70周年にあたる。我々の旅もいよいよ大詰めにきた。

労働党創立70周年当日の羊角島ホテル

羊角島ホテルは観光客に加え、各国からの報道関係者でいつになく人が多い。朝食のためにエレベーターに乗ると、満杯のエレベーターの中に日本人らしい男性2人がいるのに気づいた。声をかけると、朝日テレビだという。この旅で遭遇した初めての日本人だ。「パレードはいつ始まるか、聞いていますか」と尋ねられたが、もちろん私にはわからない。

羊角島ホテルのビュフェ式の朝食

ホテルの一角はプレスセンターとなっていて、数台のノートパソコンが並んでいた。ここからはインターネットへの接続も可能らしい。

外国人観光者が金日成広場の軍事パレードに参列できないことはあらかじめわかっていた。金日成広場の式典終了後に街に繰り出す戦車や兵士を沿道から見るだけだ。だがそれがいつになるか誰も知らない。朝から小雨が降ったり止んだりしていたこともあり、空が晴れるまでパレードの開始を待っているのではないかと推測する人もいた。

パレードがいつ始まるわからない中、我々の平壌観光がスタートする。まず向かったのは万景台にある金日成の生家。この「聖地」も普段の日だと訪問者がほとんどいなくてひっそりと静まりかえっていることもあるのだが、この日はラッシュアワー並の混雑だった。

ひととおり見てバスへ戻る道すがら、私の名前を呼ぶ声がする。Vesだ。北京で中国語を学んでいるブルガリア人のVesとは昨年の北朝鮮東北部のツアーで一緒だった。抱き合って再会を喜ぶ。Vesはネクタイを締めて正装している。錦繍山太陽宮殿にでも行くのだろうか(彼は今回はYoung Pioneer Toursのツアーで訪朝していた)。Vesは昨年のツアーのあとで私にメールを送ってくれたらしいが、私は受け取っていなかった。中国相手のメールではしばしばこういうことが起こる。

Vesとの短い出会いもそこそこに平壌観光は続く。外国人向け書店、革命戦士の墓、そして平壌民族公園へと。このころになると、曇り空ながら雨は止んでいた。民族公園は3年前にオープンしたばかりで、私にとっては初めての訪問。ある程度の期待もあったのだが、がっかりした。期待していたのは、体験型のイベントや民族楽器の実演などだが、そうしたものは一切なかった。そもそもイベントや実演をやるほどの人がおらず、閑散としていた。唯一の「体験」は、全体を見渡せる塔から降りたところで、コップ一杯のマッコリ(有料)を飲んだことくらいか。

平壌民族公園のガイド

昼食も近くなり、プールやカフェが入っている近代的な建物に入る。ひょっとすればこれはイルカショーをやっているところだったのかもしれないが、確かめていない。建物を入ったところに金正日の蝋人形があり、全員で一礼する。この場を去るとき、私は蝋人形をパチリと1枚撮った。と、職員らしき女性の叫び声。韓ガイドが慌ててやってきて、撮ったばかりの写真を削除するように指示された。撮影禁止だったらしい。銅像はよいが、蝋人形はだめ。どこに基準があるのかはっきりしない。

建物にあるレストランらしきところで、羊角島ホテルから運んできた弁当を食べる。この弁当のご飯がまずかった。ばらばらでまったく粘りがない。Lloydも「ライスがちゃんと調理できていない」と言っていた。昨年清津や羅先で食べた弁当はおかずも充実しておりおいしくいただいのだが、このときばかりはご飯の半分くらいを残した。

このあと、パレードを待つためか、この建物内のカフェで1時間余りを過ごす。カフェはおおぜいの外国人観光客でいっぱいで、カオス状態だった。席についても注文をとりにくるわけではない。カウンターでお金を払って注文するドトールやスターバックスの方式でもない。なにがなんだかわからない中、カウンターまで出向いてコーヒーを受け取った。ここのコーヒーはインスタントではなく、エキスプレッソだった。その分高価で、カフェを出るときに20元(約400円)支払った。伝票があるわけではなく、自己申告だ。おそらくおおぜいの客に慣れていなかったのだろうが、このカオスぶりは昨年の北朝鮮出国時の税関の混乱と似ていた。要するに手順がきちんとマニュアル化されていないのだ。

街中でのパレードがいつどこではじまるかはっきりしておらず、ただ待つしかなかったのだが、突然どこかから指示が出たらしく、カフェを慌てて出で、金日成花・金正日花の展示場の前の道路ぎわで待つことになる。この日平壌にいた外国人観光客は全員ここに集結しているようだった。昨年のツアーの添乗員だったVickyにも会った。Koryo Toursのイギリス人スタッフ6人は全員この日添乗で平壌に来ており、北京の事務所に残っているのは中国人スタッフだけということだった。

道路ぎわに立って待っている100人を超える外国人観光客。しかしいつまで待っても何も現れない。1時間待ったかか、2時間待ったか。やがて別の場所に移動するようにとの指示がどこからか出されたらしい。全員数百メートル離れた場所に移動する。新しい待機場所はたぶん2013年にオープンした高級レストラン「ヘダンファ(はまなす)館」の前だったと思う。

ひたすら待つ

ここでも少なくとも2時間くらいは待った。戦闘機が空に70の文字を描いた隊形で飛んでいく。花火もあがる。とっぷり暗くなってから、ようやく周りの歓声とともに戦車の隊列が現れる。私の安物のカメラではこの暗闇の中での撮影は無理だ。

日は暮れていく

暗がりの中を次々と通り過ぎる戦車や武器を搭載したトラックの列、それを歓呼をもって迎える市民の様子を1時間くらい見物したあと、朝鮮国際旅行社(KITC)直営のレストランで夕食となった。すでに8時を過ぎている。夕食では冷麺を選択できた。

歓呼する市民と観光客

この日の午後はなにがなんだかわからないまま、待機に大半の時間をとられた。金日成広場での式典が大幅に遅れ、午後3時ごろにはじまったせいだ。沿道で隊列が通りすぎるのを見たのもすっかり夜になってから。しかし雰囲気だけは味わうことができた。

金日成広場での式典やパレードの様子はホテルに戻ってからテレビで見た。

テレビに映し出される金正恩

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