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2022年11月5日土曜日

アルメニア・ジョージア2022 アルメニア到着(10月20日)

 2929年2月にフィリピンから帰国してから2年8ヶ月、10月半ばに日本への入国制限が大幅に緩和され、PCR検査の陰性証明は不要に、3回のワクチン接種証明を提出するだけで入国・再入国が可能になった。


パンデミックのせいで制限されてきた海外への渡航がようやく現実味を帯びてきた。日本や米国を除き、海外の大多数の国ではすでにパンデミック関連の規制はほぼ全廃されており、陰性証明はもちろん、ワクチン接種証明も必要ない。


さて久しぶりの海外旅行、行き先をどこにするか。パンデミック発生以前に計画していたのは北コーカサスへの旅行だった。北オセチア、イングーシ、チェチェン、ダゲスタンをマルシェルートカ(マイクロバス)で巡る旅だ。前回のチェチェン旅行とは異なり、今回はガイドを付けずに単独で。


が、2022年2月にロシアがウクライナへ侵攻し、この計画は水泡に帰した。戦争状態(プーチン流に言えば特別作戦)とはいえ、ロシアのビザ取得は不可能ではない。ロシア国内の旅行も従来とそう変わりはないだろう。しかし、ロシアへ飛ぶ飛行機は大幅に減っており、航空運賃も高騰している。そのうえ、この状況下、ロシア国内でへたに動き回ればスパイ扱いされる可能性もゼロではないだろう。


北コーカサスがだめなら、南コーカサスだ。南コーカサス3国(アゼルバイジャン、ジョージア、アルメニア)のうち、ジョージアは2009年に訪れた。残るはアゼルバイジャンとアルメニア。この2カ国を同時に訪れればいいのだが、アゼルバイジャンとアルメニアは準戦時状態で両国間の国境は完全に封鎖されている。


そこでアルメニアに的を絞った。10月19日から31日までの日程。これだけの期間、アルメニアだけでは物足りない。アルメニアはトルコと隣接しているが、歴史的にトルコとの関係もよくなく、トルコへの道はたたれている。残るのはジョージア。ジョージア(当時はグルジア)は13年前に訪れたとはいえ、ロシアからの脱出組が殺到しているという現在の状況にはおおいに興味がある。アルメニア滞在中、3、4日はジョージアの首都トビリシに遠出することにした。


10月19日23時30分、ドバイ行きのエミレーツ便で関空を飛び立った。10時間の飛行と3時間余の待ち時間を経て、翌20日の昼の12時ごろ、アルメニアの首都エレバンに降り立つ。


まずは両替とSIMカードの購入。円安のまっただ中だが、今回の旅行は1ドル90円のころに買い込んだ米ドルとユーロのキャッシュで十分にまかなえる。空港内には両替所もSIMカードのスタンドもいたるところにあった。SIMカードは5GBを1000円ちょっとで購入。


宿はBooking.comでエレバン中心部のVilla Delendaを3泊予約していた。3泊で72900ドラム(アルメニアの通貨単位)。円安の現在のレートで換算すると27000円余り。朝食付きだが、私にとっては贅沢な宿だ。


空港からホテルまで、配車アプリのYandexを使って行くことにした。アルメニアやジョージアではUberは使われていない。代わりによく利用されているのはYandexだ。SIMカードと電話番号を使えるようになった段階で、あらかじめインストール済みのYandexをセットアップし、車を呼び出す。


空港の外にはYandex用の乗り場があるので便利だ。5分ほど待って車がやってくる。ここで失敗した。運転手に「いくらか?」と聞いてしまったのだ。どの配車アプリでもあらかじめ値段は決まっている。「いくらか」と尋ねるのはバカの骨頂だが、これは運転手のアイコンをクリックしたときに値段が表示されていなかったためだ。Uberでも東南アジアで使われているGrabでも、運転手を選んだときに値段が表示される。値段は運転手によって多少の相違がある。ところがYandexの場合は、運転手を選ぶ前に行き先までの一律の値段が表示される。つまりどの運転手を選んでも同じ値段になる。はじめて利用する私は最初に表示された一律の値段を見落としていた。


運転手の答えは「Two」とのことだった。どの単位のtwoなのかはわからない。


ホテルまでの約30分の道中、英語がわからない運転手と私の初歩レベルのロシア語でそれなりに楽しく会話。ところがホテルに到着した運転手は2万ドラム(8千円近く)を要求してくる。これはさすがに高い。私は「高すぎる。ホテルに入ってスタッフに尋ねてみるので、一緒にホテルに入ってくれ」と反論した。運転手はロシア語で「ここに駐車しておくことはできない。ともかくお金を払え」と言い張る。


かまわず私はホテルに入り、受付の若くてかわいい女性に英語で事情を話す。女性も「2万ドラムは高すぎる」と言う。女性を伴って外へ出ると、車は消えていた。おそらくYandexに顛末を報告されることをおそれた運転手が逃亡してしまったのだ。結果的に私は空港から宿まで無料でたどり着いたことになる。後日、宿から空港までYandexで行った場合の値段は1700ドラムだった。空港から宿まで、おそらく2000ドラムくらいだったのだろう。事情を知らない私に20000ドラムという法外な値段を要求した運転手は2000ドラムも受け取らずに消えてしまった。


Villa Delendaはホテルというより古い民家というおもむきだった。単独で探していたら見つけにくかったかもしれない。部屋の中も同様で、なんと結構な数の本で埋まった本棚まであった。

Villa Delenda


部屋の中の本棚



遅めの昼食は宿から歩いて10分たらずのセルフサービス式のレストランでとった。ジャガイモと肉の皿とサラダ、水とパンで1000円余り。円安とはいえ、平均月収500ドルのアルメニアにしては結構な値段だ。アルメニア最初の食事はまずまずのおいしさだった。


このレストランで



アルメニアで最初の食事




食事後、エレバンの街をすこし彷徨したが、方向音痴の私としてはGoogleマップを頼りにしてもかいもく見当がつかない。


夕食はスーパーで購入した菓子パンとジュースで済ます。


1 件のコメント:

  1. 私のまったく知らない地域のルポ。楽しく読んでいます。虻蜂取らずのタクシーにはいい薬になったでしょうね。愉快、愉快。

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